臨牀消化器内科 Vol.15 No.2(5)


特集名 脂肪肝をめぐる最近の話題
題名 C型慢性肝炎における肝脂肪化
発刊年月 2000年 02月
著者 前山 史朗 聖マリアンナ医科大学病理学教室
【 要旨 】 HCV感染による慢生肝炎(C-CH)の脂肪化に関する組織学的な諸問題点を概説した.C-CHの脂肪化の病因についての検討では,肥満(body mass index;BMI)とよく相関する成績,HCVコア蛋白が脂肪症を引き起こしている実験的・臨床的成績,HCV subtypeと脂肪化の関連,飲酒との関連,線維化の組織学的な程度と相関する報告,などがみられる.当教室で経験したC-CHの脂肪化に関する検討では,大多数例では小葉面積の30%以下で,部分的な軽度の脂肪化に留まり,小葉の30%以上を占める脂肪肝の合併例は少ない.また,IFN投与例のうち著効21例を検討し,IFN前後での肝生検像では,脂肪化の平均スコアでは変化は認めていない.したがって,現時点ではC-CHの脂肪化はHCV感染による直接的な組織変化なのか,他の要因に伴うものかは,一定の結論を下すことはできない.今後は,代謝,栄養面など多角的見地からのアプローチが必要である.また,近年わが国で増加傾向がみられる非アルコール性脂肪性肝炎についても紹介した.この組織学的特徴は,アルコール性肝障害(ALD)に類似する線維化を呈し,実質の壊死・炎症所見が加わった脂肪性肝炎の像で,ALDとの組織学的な峻別は困難である.
Theme Fatty Liver Update
Title Fatty Changes Associated Chronic with Hepatitis C
Author Shiro Maeyama Department of Pathology, St. Marianna University School of Medicine
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