MR画像診断のエッセンスを凝縮


図を見てわかる膵疾患のMRI

知っておきたい撮像と読影・診断のポイント

膵臓MRを学ぶ方々のもっと知りたいに応えるべく,膵疾患理解の必携書となることをめざした.MR診断のポイントを簡潔明瞭に示し,典型的な所見を記憶しやすいように工夫し解説した.

1.本書の構成
疾患編として先天異常,急性膵炎,慢性膵炎,自己免疫性膵炎,外傷,嚢胞性腫瘍,膵管内腫瘍,充実性偽乳頭状腫瘍,神経内分泌腫瘍,膵管癌,転移性膵腫瘍,悪性リンパ腫,膵周囲腫瘍,血管病変の14章から成っている.
2.見やすさへの工夫
症例毎に1ページあるいは見開きで内容を見やすく完結させ,疾患毎に目的の異常所見をどのMRシークエンスの画像で見つければ良いか囲み記事を使ってわかりやすく解説している.興味のある症例だけを拾い読みしても平易に理解できる組み立てになっている.典型的症例だけでなく,画像のバリエーションとして非典型例や稀な症例も提示してある.

本書は膵疾患を網羅した一冊になっており,膵臓の総説書としても活用できる.
目 次
1.膵胆管の先天異常
(1) Oddi括約筋と乳頭部膵胆管正常像
(2) 膵胆管合流異常
  • 胆管非拡張型/先天性胆道拡張症
(3) 総胆管瘤,膵管瘤,Santorini管瘤
  • 総胆管瘤/膵管瘤/0Santorini管瘤(Santorinicele)
(4) 膵臓の発生と先天異常
  • 膵管の正常変異/膵管癒合不全(非癒合)/輪状膵/膵低形成(hypoplasia,partial agenesis)/異所性膵(迷入膵)
2.急性膵炎
(1) 間質性浮腫性膵炎
(2) 壊死性膵炎
(3) 急性膵炎の合併症
  • 感染合併症(感染性膵壊死)/被包化壊死(WON)/膵仮性嚢胞/膵仮性嚢胞内出血/仮性動脈瘤破裂/瘻孔形成/急性腎不全
3.慢性膵炎
(1) 膵実質の萎縮と線維化
(2) 主膵管を分枝膵管の狭窄と拡張
(3) 膵石・蛋白栓
  • 膵石の移動/膵石嵌頓/膵石嵌頓.慢性膵炎の急性増悪
(4) 総胆管狭窄・閉塞性黄疸
(5) 慢性膵炎に伴う仮性嚢胞
(6) 器質的原因
(7) Groove pancreatitis
4.自己免疫性膵炎
  • 1型自己免疫性膵炎(type 1 AIP)/type 2 AIP/AIPのMR所見
(1) 典型例:自己免疫性膵炎(分節型)
(2) 実質病変の特徴的MR所見:膵癌との鑑別点
(3) 主膵管の狭細化:特徴的所見とスペクトラム
  • びまん型/分節型/主膵管の狭細化の長さと実質病変の範囲の乖離/主膵管壁・総胆管壁の造影増強所見
(4) ステロイド治療による経過
(5) 膵外病変と合併病変
5.外傷性膵損傷
(1) 膵断裂
(2) 主膵管損傷
6.膵嚢胞性腫瘍
(1) 漿液性嚢胞腺腫(Serous cystadenoma)
(2) 粘液性嚢胞腫瘍 (mucinous cystic neoplasm:MCN)
(3) 扁平上皮性嚢胞性腫瘍
  • 類表皮嚢胞/膵リンパ上皮嚢胞
7.膵管内腫瘍
(1) 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
(2) 膵管内管状乳頭状腫瘍(ITPN)
8.充実性偽乳頭状腫瘍
9.膵神経内分泌腫瘍
(1) 機能性膵内分泌性腫瘍
  • インスリノーマ/ガストリノーマ/グルカゴノーマ/VIPoma
(2) 非機能性膵神経内分泌腫瘍
(3) 非典型的な神経内分泌腫瘍
(4) 膵神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma)
10.膵癌
(1) MRCP所見
  • 典型例/MRCPで注意すべき症例:膵辺縁の癌や小さな癌(主膵管の変化に乏しい場合)/MRCPで注意すべき症例:特殊な場合
(2) 実質シークエンス所見
  • T1強調像での膵癌検出:T1-in vs. FS-T1/DWによる膵癌検出/T2WI,造影MR,MRA
(3) 浸潤性膵管癌
(4) 局所進展
  • 膵外神経叢浸潤/後方組織浸潤と大血管浸潤/十二指腸浸潤/リンパ節転移/腹膜播種、腹水、肝転移
(5) 非典型的な膵癌
  • 浸潤性膵管癌large duct type/浸潤性膵管癌:硬性型(scirrhous type)/退形成癌(Anaplastic carcinoma)/Hepatoid carcinoma
11.膵外原発癌の膵への転移と直接浸潤
(1) 転移性膵腫瘍
(2) 膵周囲悪性腫瘍からの直接浸潤
12.膵悪性リンパ腫
(1) 原発性膵悪性リンパ腫
(2) 二次性膵悪性リンパ腫
13.膵周囲腫瘍
(1) 褐色細胞腫(副腎外)
(2) リンパ節由来
(3) 後腹膜由来
14.膵,胆道の血管病変
(1) 側副血行路
(2) 占拠性病変としての血管病変
  • Covernous transformation/動脈瘤/膵動静脈奇形(膵AVM)
参照.膵MRの正常解剖と画像コントラスト
参照.Q&A―MRIの基礎知識
Q1:MR画像とCT画像の空間分解能、コントラストの違いは?
Q2:MR画像の表示ウインドウ幅を狭めてもコントラストがCT画像のように高くならないのはどうしてですか?
Q3:T1,T2強調像での信号強度と組織固有のT1,T2との関係は?
Q4:T1,T2強調像の信号強度から推定される組織や病変は?
Q5:なぜ脂肪抑制すると臓器のコントラストが高くなるのですか?
Q6:脂肪抑制(FS)の利点・有用性は?
Q7:脂肪成分を検出することは何に役立ちますか? その方法は?
Q8:T1強調像で高信号を示す要因は何ですか? どのような腫瘍の性状診断に役立ちますか?
Q9:T1-in-phase画像にはどのような有用性がありますか?
Q10:Heavy T2強調像はどのような場合に有用ですか?どのような短所がありますか?
Q11:非造影MRA(b-TFE)の原理とその画像の特徴は?
Q12:MRCPの撮像方法の種類とその相違は?
Q13:ss-MRCPとms-MRCPの画像の特徴,相違は?
Q14:ss-MRCPとms-MRCPの読影手順は?
Q15:拡散強調像とADC の関係は?
Q16:拡散強調像の読影の手順とポイントを教えてください.また,どのような短所がありますか?
Q17:拡散強調像の信号強度に影響を及ぼすものにはどのようなものがありますか?
Q18:ADCから病変の性状が判定できますか?
Q19:拡散強調像の読影上の注意すべきポイントについて教えてください
Q20:MR特有のアーチファクトについて教えて下さい
Q21:静磁場強度の違い(3Tと1.5T)で画質はどれくらい違いますか?