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血液透析施行時のトラブルマニュアル 改訂第3版
- 【【編集】】
大平 整爾/伊丹 儀友
- 【【企画】】
「臨牀透析」編集委員会
- 【ISBN】
978-4-88875-268-8
- 【本体価格】
4,200円
- 【刊行年月】
2014年 06月
- 【版組】
A5判
- 【ページ数】
470ページ
- 【在庫】
あり
-
改訂第3版の序
- 過去数年の維持透析医療を振りかえると、次のような特徴があることに気がつく.
1) 新規透析導入患者の高齢化、既導入患者の長期化・高齢化
2) 基礎疾患として糖尿病性腎症の急増と複数の合併症を有しての透析導入
3) これらの変化に呼応した透析方法や透析処方に対する考え方の変化
4) 自立性を失ったか、失いつつある透析患者の通院・居住・療養環境に絡む介護問題
5) 認知機能障害患者の増加と看護度の増大
6) 血液透析中の危険度の増大(一人一人の患者の看護度の増大)
これら全てを要約すれば、患者背景の大きな変貌と言える. 患者の高齢化や基礎疾患の変化などを主因として、個々の患者に対する血液透析の施行が、種々の面で従来に較べて困難度が相当に増してきていることを実感する. 日本透析医会・日本透析医学会が作成した「透析医療における標準的な透析操作と院内感染予防に関するマニュアル改訂版(平成11年)」に添った操作手順で血液透析を準備・開始し、患者の状態を十分に観察しつつ血液透析を終えることが基本的に肝要である. 患者の満足度は、1) 医療技術がその時点で標準以上である、2) 患者の視点を考慮した医療、3) 医師や病院職員へのアクセスがタイムリーに可能である、4) 病院職員との良好な意思疎通、5) 苦情や不平などを気楽に相談できる院内体制の整備、6) 安全第一を感じ取れる透析室の雰囲気と事故発生時の速やかで的確な処置(体制)などに関わっている. 項目6)が本書の主題であるが、これを達成するためには多くの要因が関連してくることを銘記したい. 例えば、「抜針事故」では自己抜針が過半数を占めるが、これには今後増加が懸念される認知機能障害患者が絡んでいる. このため、患者との優れたコミュニケーションが求められる. 血液透析中の多様で程度の様々なインシデントやアクシデントの予防は透析スタッフだけではなく、患者当人の協力・参画に負う領域も多々ある. 高齢化が進み患者のスタッフへの依存心は一層大きくなってきているが、繰り返し「安全教育」を患者に与える努力を惜しまず、難しい側面はあるが、スタッフと患者の協働による事故予防が急務であろう.
重度の認知症患者に対する施策は重要であり、別途に考える必要がある. 一人のチェックよりもダブルチェック、更にはトリプルチェックが事故予防に効果をもたらすであろうと予測されるのであるが、実地での調査結果はその予想を裏切った. 人の心身の不確かさ・緩み・依存性などが、「人は誰でも間違える」という事態を生み出してしまうのであろう. 本書の初版2001年および改訂版2008年は全国の多くの透析スタッフに活用していただいてきたが、この度改訂第3版を発刊するに際して、全項目の内容を見直し読みやすいように工夫を凝らした. ご多忙中に執筆の労を煩わせた各執筆者と編集部の方々に感謝し、この改訂3版も透析室の現場で役立つことを強く祈念して止まない.
目 次
- I部 医療事故概説
- II部 血液透析施行時の事故
- III部 症 状
- 1 頭 痛
- 2 胸 痛
- 3 関節痛
- 4 食思不振
- 5 嘔気・嘔吐・腹痛
- 6 便通異常(便秘・下痢)
- 7 消化管出血(吐血・下血)
- 8 筋痙攣
- 9 てんかん様発作
- 10 悪寒・戦慄・発熱
- 11 急激な血圧異常
- 12 起立性低血圧
- 13 不整脈(頻脈・徐脈)
- 14 痒 み
- 15 アレルギー反応
- 16 心因反応
- 17 急性精神病状態・せん妄
- 18 イライラ脚症候群(restless legs syndrome)
- 19 血管痛
- 20 めまい・耳鳴り
- 21 しゃっくり
- 22 血糖値変動
- 23 鼻出血
- 24 歯肉出血
- 25 眼球結膜出血・眼底出血
- 26 呼吸不全
- 27 シャント肢の虚血-スティール症候群
- 28 患者への説明上の注意
- IV部 人または機械に起因するトラブル
- 1 透析条件の設定ミス
- 2 血管アクセス関連トラブル
- (1)穿刺困難・穿刺ミス(エコー下穿刺を含む)
- (2)脱血不良・静脈圧上昇
- (3)血液再循環
- (4)抜針後止血不良
- (5)血管内留置カテーテル関連トラブル
- (6)消毒薬・テープかぶれ
- (7)穿刺針の逸脱
- (8)シャントの過剰血流
- 3 空気混入
- 4 血液漏出
- 5 感染事故
- 6 回路接続部の逸脱
- 7 血液回路内・ダイアライザ内の溶血・凝血
- 8 透析液供給装置の異常
- (1)濃度異常
- (2)温度異常
- (3)透析液汚染
- (4)透析液配管の消毒ミス
- 9 透析用監視装置の異常
- 10 透析管理支援コンピュータシステムの異常
- 11 除水の不足と過剰
- 12 誤投薬
- V部 災害時の対応
- 1 停電・断水
- 2 火 災
- 3 地 震
- 4 水 害
- 5 平時からの患者情報管理,地域間連携1 透析条件の設定ミス