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C型肝炎ウイルス感染症が終焉を迎えようとしている
肝疾患 Review 2014-2015
- 【【監修】】
小俣 政男
- 【【編集】】
椎名秀一朗,坂本 直哉,丸澤 宏之
- 【ISBN】
978-4-88875-267-1
- 【本体価格】
7,200円
- 【刊行年月】
2014年 05月
- 【版組】
B5版
- 【ページ数】
208ページ
- 【在庫】
なし
序 文
- C型肝炎ウイルス感染症が終焉を迎えようとしている.
1989年に発見されたC型肝炎はその発見に至る道程,さらには抗ウイルス薬,ことに経口剤の開発に難渋した.本来,抗ウイルス薬は一般に核酸アナログ,チェインターミネーターが主流である.それはHBV,HIV の場合の例をとるまでもなく,核酸アナログは治療の主体である.しかしなぜかC 型肝炎ではその開発が遅れた.したがって,多くの治療はインターフェロンを主体としてその副作用に耐えながら治癒率40%前後に長らく甘んじてきた.
しかしながら,ここにきて副作用がほとんど存在しない核酸アナログを核とした治療の組み合わせによって,70 歳を超える高齢であろうと,Child A の肝硬変であろうと,インターフェロンにまったく反応しない患者であろうと95%以上のSVR(Sustained Virological Response)が得られ,すなわち感染からの完全な解放が可能となった.現在の国外での開発状況は,この核酸アナログを中心としたGenotype 2型及び3型ですでに米国で認可が下りており,Genotype 1型も本年(2014年)中頃には市場に出現すると考える.しかも,今まで上市された全ての薬剤のなかでも,もっともスピーディに市場に広がっているという新聞記事もある.本邦でも治験が終了し,本年中には申請が行われる見通しである.従って,安全性が担保された(耐性株がまったく出ない点も含み)経口剤の3カ月で,ほぼ全例(ただし,Child B/Cの患者さんを除く)で,C型肝炎ウイルスが消滅する可能性が完全に視野に入った.
2014年5月
山梨県立病院機構理事長
東京大学名誉教授
小俣 政男
目 次
- 第1部 Overview
- 1.肝炎の基礎
- 1. HCV培養系と薬剤探索
- 2. HBV感染生活環と培養系
- 2.肝炎の臨床
- 1. HCV感染の疫学の現況と今後
- 2. C型肝炎治療の現状と新展開
- (3剤併用療法,DAA経口薬など)
- 3. B型肝炎治療の現況と長期展望
- (PEG-IFN,核酸アナログ製剤,創薬)
- 3. 肝癌の診断・治療
- 1.肝癌の診断・治療におけるバイオマーカーの有用性
- 2.エビデンスに基づく肝癌診断の進め方
- 3.腹腔鏡下肝切除の現状と将来展望
- 4.ラジオ波焼灼術(RFA)─新たな展開と将来展望
- 4.その他─肝病態理解のために
- 1.PBCの発症機構
- 2.PSCと IgG4関連疾患
- 3.肝脂肪化-炎症-線維化の三角関係
- 第2部 トピックス
- 1.肝炎の基礎
- 1.HCV 感染におけるIFN-λ高産生樹状細胞の意義
- 2.ヒト肝細胞キメラマウスを用いたC型肝炎ウイルスに対するDAA薬剤の効果
- 3.ウイルス感染と分泌型microRNA
- 2.肝炎の臨床
- 1.Simeprevir 併用療法─第2 世代プロテアーゼ阻害薬の登場
- 2.Daclatasvir(NS5A 阻害剤)+ Asnaprevir(プロテアーゼ阻害剤)併用療法
- 3.Faldaprevir(プロテアーゼ阻害薬)-interferon 併用/非併用プロトコル
- 4.チェインターミネーター;核酸型のポリメラーゼ阻害薬Sofosbuvir
- 5.HCV 駆除後の肝発癌リスク
- 6.HBs抗原消失を目指した肝炎治療
- 7.がん化学療法後のB型肝炎再活性化の現状と対策
- 3. 肝癌の診断・治療
- 1.メタボ肝癌;最近の展開と将来展望,疫学を含めて
- 2.肝癌に対する多様化する放射線治療
- 3.ソラフェニブによる肝細胞癌マネージメントと分子標的治療薬開発の将来展望
- 4.ゲノムからみた肝癌─最新情報
- 4. その他のトピックス─肝病態理解のために
- 1.肥満と腸内細菌,そして肝癌
- 2.iPS細胞から肝臓を作る
- 3.ヒト化肝臓マウスを用いた基礎研究と将来展望
- 4.幹細胞マーカーと肝癌