大腸癌研究の進歩と炎症性腸疾患の基礎と臨床の最新知見が満載


大腸疾患NOW 2009

  • 【【監修】】 武藤 徹一郎
  • 【【編集】】 杉原 健一/藤盛 孝博/五十嵐 正広/渡邉 聡明
  • 【ISBN】 978-4-88875-214-5
  • 【本体価格】 7,400円
  • 【刊行年月】 2009年 01月
  • 【版組】 B5判
  • 【ページ数】 210ページ
  • 【在庫】 なし

序文より抜粋
重がんは年々増加の傾向にあり,癌全体の5~6%を占める.最初の癌を治療した後に第2の癌(多重がん)で亡くなる例に遭遇することは珍しくない.
HNPCCは日常の大腸疾患診療の中で忘れてはならない疾患となった.大腸癌研究会のプロジェクト研究の成果も含め,HNPCCの分子生物学的特性が記載され,大変参考になる.
Stage・大腸癌の治療として肝転移に対するRFA,neoadjuvant therapy,肺転移に対する治療が取り上げられた.さらに,大腸癌局所再発に関して大腸癌研究会の発表内容が要約され,ESDの適応が内視鏡専門家によって詳述されている.SM癌における簇出の意義はリンパ節転移のリスク要因として注目に値する.

炎症性腸疾患に関しては今回はUC・CDいずれについても,基礎的な知見が沢山紹介されている.IBDにおける酸化ストレス修飾蛋白質,炎症と発癌における骨髄の役割などは今まであまり聞いたことのない話である.また,UCのリスク因子に関する症例対照研究や軽症UCの自然史など,臨床的な新しい知見も盛り沢山で見逃せない内容に溢れている.
主な内容
第一部 大腸癌診断と治療の最新情報
I. 大腸の多重がん
  • 総論/アンケート集計・解析/多重がん診断の重要性/大腸癌手術症例における多重がん発生の状況とサーベイランスの必要性/大腸癌内視鏡的摘除例における多重がんの検討
II. HNPCC
  • 本邦における遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)の現状と臨床遺伝学的特徴/HNPCCにおけるMSIの意義
III. Stage IV大腸癌の治療方針
  • 大腸癌肝転移におけるRFAの意義/大腸癌肝転移における術前化学療法の意義/同時性肺転移の治療方針
IV. 大腸癌局所再発に対する治療
V. 大腸疾患におけるESDの適応
VI. SM癌治療における簇出の意義
VII. 大腸癌研究会 優秀発表賞より
第二部 炎症性腸疾患をめぐる最近の話題
1.炎症性腸疾患における上皮分化/増殖機構の解析と粘膜再生治療への応用
2.潰瘍性大腸炎のLCAP前後における腸内細菌叢のT-RFLP法による解析
3.炎症性腸疾患患者における酸化ストレス修飾蛋白質の同定
4.難治性炎症性腸疾患におけるCMV感染症の関与
5.炎症と発癌における骨髄の役割
6.潰瘍性大腸炎のリスク因子に関する症例対照研究
7.炎症性腸疾患小児の成長障害とそれに影響を与える因子
8.潰瘍性大腸炎の自然史―軽症・中等症発症の予後は良好か?
9.クローン病におけるインフリキシマブの維持療法について
10.クローン病術後のインフリキシマブ投与と再燃
11.インフリキシマブの投与 -- 単剤投与or多剤投与?