安全,確実な切開・剥離法の詳細にわたる手引き書


Endoscopic Surgery 切開・剥離EMR -Hookナイフを中心に

  • 【著】 小山 恒男(佐久総合病院胃腸科)
  • 【ISBN】 4-88875-149-8
  • 【本体価格】 8,800円
  • 【刊行年月】 2003年 05月
  • 【版組】 B5
  • 【ページ数】 150ページ
  • 【在庫】 なし

序説より抜粋
EMRにもっとも大切なことは正確な術前診断である.いくら切開・剥離法で一括切除しても進展範囲診断を間違っていれば局所再発をきたす.切開・剥離屋になってはいけない.内視鏡医には診断と治療の両輪が必要である.
「局所再発しても粘膜内癌だから生命予後には影響はない」と偉い先生が講演されていた.たしかにその通りである.でも,再EMRには再入院が必要になる.瘢痕を合併しているので,切除が難しい.偶発症の危険も高くなる.何より患者さんが不安な日々を送らねばならない.多少時間がかかろうとも,一回の治療で完全切除を目指すべきである.
切開・剥離法では切除に2時間以上かかる時もある.でも患者さんの一生から見ると2時間などほんの一瞬である.まして,鎮静剤の併用で苦痛も全くない.大切なことは術後評価に耐えるEMRを安全に行うことである.
目 次
1.切開・剥離法の意義とHookナイフ
1.切開・剥離法の長所
  • (1) 正確な切除を施行することができる
  • (2) 術後の病理組織学的検索を十分に施行しうる
2.切開・剥離法の短所
  • (1) 手技が難しい
  • (2) 出血が多い
  • (3) 穿孔が多い?
  • (4) 時間がかかる
3.Hookナイフとは
4.Hookナイフの特徴
  • (1) マーキング時の安全性
  • (2) 粘膜切開時の安全性
  • (3) 粘膜下層剥離時の安全性
  • (4) 粘膜下腫瘍剥離時の安全性
2.胃癌における切開・剥離EMRの適応
3.心構えとインフォームド・コンセント
1.心構え
2.インフォームド・コンセント
4.用意する器具,道具,薬剤,人員
1.前処置,前投薬,麻酔
2.監視装置
3.高周波発生装置
4.処置具
5.洗浄液,染色液
6.局注液
7.フレキシブルオーバーチューブ
8.スタッフ
5.高周波発生装置の設定 -モードの選択
1.フォースド(forced)凝固モード
2.ソフト凝固モード
3.APCモード
4.オートカットモード
5.エンドカットモード
6.胃癌切開・剥離EMRの基本
1.前処置,前投薬,麻酔
  • (1) 前 処 置
  • (2) 前 投 薬
  • (3) 麻 酔
2.伸展範囲の確認
3.マーキング
4.粘膜下局注
  • (1) 局注針の選択
  • (2) 局注液の選択
  • (3) エピネフリンの添加
  • (4) インジゴカルミンの添加
  • (5) 局注方法
  • (6) 局注の開始部位
    • 1)見下ろしでの切開時
    • 2) 見上げでの切開時
    • 3)正面視できる場合
5.粘膜切開
  • (1) 針状ナイフ
    • 1)エンドカットモードでの粘膜切開
    • 2)オートカットモードでの粘膜切開
  • (2) ITナイフでの粘膜切開
  • (3) フレックスナイフによる粘膜切開
  • (4) Hookナイフによる粘膜切開
  • (5) 粘膜切開時の出血対策
6.粘膜下層の剥離
  • (1) 粘膜剥離を要する状況
  • (2) Hookナイフを用いた粘膜下層剥離
    • 1)粘膜下層の観察
    • 2)粘膜切開部の深切り(トリミング)
    • 3)粘膜下層の剥離
    • 4)intra-gastric lesion lifting method
  • (3) ITナイフを用いた粘膜下層剥離
    • 1)粘膜切開部の深切り(トリミング)
    • 2)粘膜下層の剥離
  • (4) フレックスナイフを用いた粘膜下層剥離
    • 1)粘膜切開部の深切り(トリミング)
    • 2)粘膜下層の剥離
7.止血および後出血予防
8.穿孔予防と対策
  • (1) Hookナイフでの穿孔
  • (2) ITナイフでの穿孔
  • (3) フレックスナイフでの穿孔
  • (4) スネアリング時の穿孔
9.病変の回収
10.術後管理
コラム:偶発症と対策 出血 穿孔
7.食道癌の切開・剥離EMR
1.前投薬,前処置,麻酔
2.マーキング
3.局 注
4.粘膜切開
5.粘膜切開部の深切り(トリミング)
6.粘膜下層の剥離
7.吸引剥離法
8.出血対策
9.後出血予
10.術後管理
11.偶 発 症
12.術後経過
8.大腸病変の切開・剥離EMR
1.前投薬,前処置
2.マーキング
3.局 注
4.粘膜切開
5.粘膜切開部の深切り(トリミング)
6.粘膜下層の剥離
7.後出血予防
8.標本回収
9.術後管理
10.偶 発 症
11.術後経過
9.症例でみる切開・剥離EMRの実際
胃癌基本編1:前庭部前壁11mmのIIc型病変
胃癌基本編2:前庭部大彎17mmのIIc型病変
胃癌応用編1:やや大きめの病変 前庭部大彎26mmのIIc型病変
胃癌応用編2:噴門直下の広範なIIa型病変
食道癌基本編:上部胸部食道右壁20mmの0-IIc,M1病変
食道癌応用編:胸部下部食道の後壁45mmの0-IIa+IIc,M1病変
大腸腫瘍基本編:Rb,42mmのtubular adenoma
大腸腫瘍応用編:S状結腸24mmのtubular adenoma
フレックスナイフによる切開・剥離EMR
SMT(submucosal tumor;粘膜下腫瘍)の核出術
10.切開・剥離EMR習得方法
Step 1 術前診断
Step 2 見 学
Step 3 練 習
Step 4 実技 1
Step 5 実技 2
Step 6 実技 3
★忘れてはいけないこと
  • (1) 安全第一である
  • (2) ゆとりをもつこと
  • (3) 学ぶこと