いそがしい臨床医がすぐ手にとって参考にできるよう,簡潔に,箇条書きに記述.
テキスト 大腸癌
- 【監修】
武藤 徹一郎
- 【編集】
小西 文雄/松井 敏幸/藤盛 孝博
- 【ISBN】
4-88875-146-3
- 【本体価格】
8,800円
- 【刊行年月】
2002年 10月
- 【版組】
B5
- 【ページ数】
250ページ
- 【在庫】
なし
序 文
現代は情報の時代である.IT革命の合い言葉の下に次々と新しい技術が発達するお陰で,現代人は情報を追っかける一方で情報に追いまくられている.ITのお陰でたしかに便利にはなったが,これでよいのだろうかとふと心配になることがある.一方,我々医療の世界にもIT革命は容赦なく侵入してきている.日々の医療を支える機構,システムを効率よく動かすにはITは大変有用であり必要不可欠といってもよい.しかし,医学の勉学のためには相変わらず成書の占める役割は少なくない.もう10年もすれば,IT革命の中に取り込まれて成書なぞ存在しなくなるかもしれないが‥‥.
さて,成書は役に立ってよく読まれなければ作った意味がない.ただでさえ日々の情報量が多い上に,最近の若い人々は文章を読むのが苦手という現状を考慮して本書が企画された.記述はできる限り短く,ほとんど箇条書きのスタイルをとることにした.IT革命の現状に合わせたつもりであるが,これで成書と呼べるかは少々自信がない.しかし,必要な情報は十分に盛り込んであるし,読者にとって読みやすく憶え易いという利点はあるだろう.要は体裁にこだわらず,分り易く使い易いことに一点集中するという発想に従った.文献も必要最小限に絞り,重要なものについては内容を簡単に紹介してある.読者はこの短い抄録から,精読する原著を選別してもらえばよい.内容の配置も重要度別の大項目,中項目,小項目,最小項目に分けてあり,いくつかのコラムが本文で語りつくせない領域をカバーしている.
対象とした疾患は大腸癌.最近はやりの疾患であり,それだけに同類の成書も数えきれないほどあるので,競争が厳しいということである.余程の工夫をこらさなければ本が売れない分野でもある.そこで色々と新味を出そうと工夫した結果,このような体裁のユニークな本になった.著者はほとんどが若手の現役の方々であり疫学から解剖,発癌,一次予防,二次予防,病理,診断,治療,術後サベイランスと全ての領域が網羅してある.記述形態も厳密なチェックの結果,日本の成書にしては珍しくほぼ統一することができた.若手編集者の努力の甲斐あって,期待通りの本が出来上がったと感じている.著者の方々の協力に感謝申し上げたい.