潰瘍性大腸炎とクローン病 改訂版

  • 【著】 多田 正大(多田消化器クリニック)
  • 【ISBN】 4-88875-145-5
  • 【本体価格】 1,800円
  • 【刊行年月】 2002年 08月
  • 【版組】 A5
  • 【ページ数】 247ページ
  • 【在庫】 なし
  • 【改訂版】 潰瘍性大腸炎とクローン病 改訂第3版

序文より
本書を刊行してから3年がたちました.3年もたちますと本の内容に一部古くなった箇所が出てきました。
もちろん,潰瘍性大腸炎とクローン病(IBD)の本質は変化していないのですが,高額な医療費がかかる白血球除去療法が健康保険で認可されたり,クロ-ン病の治療薬としてレミケ-ドが承認されたり,医療現場の環境も少しずつですが進歩してきました。なによりも素晴らしいニュ-スは,免疫抑制剤であるロイケリンを効果的に使用することで,潰瘍性大腸炎ではガンが発生した時以外には外科治療が不要になる日がやってきたことです。手術すべきか,もう少し内科治療で頑張るべきか,皆さんが最も悩むことに対して,私なりに助言を差し上げることが可能になったことはうれしいことです。
そこでこれを機会に,内容を一部改訂したいと決意しました。
内 容
第1章 原因-原因不明の病気といわれているが?
腸炎には2種類ある/非特異性腸炎とは?/増加しているIBD/なぜIBDが増加している?/IBDは原因不明の疾患/細菌,ウイルス説/アレルギー説/明らかにアレルギーが原因であったケース/遺伝説/酵素説/免疫異常説/精神神経説
第2章 病態-病気を正しく理解するために
炎症の深さ/病変範囲/クローン病の肛門部病変/肛門を診せることを恥じてはならない/3活動期と緩解期/潰瘍性大腸炎の症状/潰瘍性大腸炎の初期症状/血便で潰瘍性大腸炎は診断できるか?/クローン病の症状/緩解期になったのに下痢が続く/IBDと合併症/潰瘍性大腸炎とクローン病の違い/潰瘍性大腸炎の重症度評価/クローン病の重症度評価/IBDは大腸ガンになりやすい?/IBDの大腸ガンは発見が遅れる/IBDは「治らない病気」?/IBDは「治りにくい病気」/多くの潰瘍性大腸炎患者は通院していない
第3章 診断-正しい診断を受けるために
腸の検査は簡単ではない/要領よく症状を説明する/医者が知りたい症状/言いたいことはメモにして/医者が嫌う応答/医者の嫌がる持参便/便細菌検査はIBD診断に不可欠/大腸のX線検査/小腸のX線検査/大腸の内視鏡検査用スコープ(a.硬性鏡/b.ファイバースコープ/c.ビデオ内視鏡)/内視鏡検査のための前処置/手軽にできるシグモイドスコープ検査/内視鏡の検査時間は何分間くらい?/生検とは?/小腸の内視鏡検査/腹部超音波検査/血液検査は何を調べる?
第4章 確定診断がついたあとの手続き - 特定疾患医療給付制度について
IBDと診断されたらすぐにしなければならない手続き/特定疾患医療給付制度の手続き/受給者証の有効期限/記載事項に変更があるとき/どのような特典がある?/医療給付制度を受けたくない?
第5章 薬物療法-薬の正しい服用の仕方と副作用
IBDの薬物治療は後追い治療/ステロイドとは?/ステロイドの使用法/リンデロン坐薬の使い方/直腸・S状結腸炎型に効果があるステロネマ/ステロネマの使い方/ステロイドを虫垂から注入する*/ステロイドの内服/ステロイドの静脈注射/ステロイド動注療法/ステロイドの副作用(a.感染の誘発と悪化/b.胃潰瘍や十二指腸潰瘍を悪くする/c.糖尿病を悪くする/d.精神神経症状が出現する/e.顔つきが変る/f.骨への影響/g.目への影響)/おかしいと思ったら/ステロイドをやめるとき/かつての特効薬・サラゾピリン/ペンタサ/ペンタサにも副作用はある/免疫抑制剤/抗アレルギ-薬/漢方薬/その他の薬剤/白血球除去療法(a.治療法と適応/b.合併症/c.治療効果)*/クロ-ン病の新しい治療薬レミケ-ド(a.治療法と適応/b.副作用/c.治療効果)/薬剤治療の原則/潰瘍性大腸炎の薬剤治療の原則/クロ-ン病の薬剤治療の原則/難治性の炎症が続く場合/緩解期になれば薬剤を減量する/ステロイド依存症/維持療法
第6章 食事と栄養療法-適切な食事制限のために
食事療法の基本/目安となるカロリー/よく噛んで食べる/好ましい食品と避けるべき食品/1年間,豆腐を食べ続けた話/調理方法にも注意/おおよそのカロリー計算の仕方/脂肪はIBDの胃腸に大敵/牛乳は胃腸によくないのか?/乳糖不耐症を克服しよう/食事日記で知る食物アレルギー/チョコレートはほどほどに/食事時間が辛い/栄養療法とは?/点滴で栄養補給をする中心静脈栄養/3種類ある経腸栄養剤/科学的には理想的な成分栄養剤/2種類ある消化態栄養剤/口から飲める半消化態栄養剤/栄養療法の効果/どのように栄養療法を行うか?/飼い犬の気持ちがわかった話/どこまで続ける緩解期の食事制限/英国在住のHさんの疑問/またまた健康食品について
第7章 外科治療-できれば避けたい外科手術
どのような時に手術を行うのか?/潰瘍性大腸炎の絶対的手術適応/中毒性巨大結腸症とは?/中毒性巨大結腸症になる原因/クローン病の絶対的手術適応/相対的手術適応/手術をすれば潰瘍性大腸炎と決別できるか?/クロ-ン病は手術後の再発が多い/潰瘍性大腸炎の手術法/クロ-ン病の手術法/切らずにできるバル-ン拡張術/クロ-ン病の肛門病変
第8章 心理療法-精神面のサポートが大切
IBDの心理テスト/心理テストの結果/バウムテスト/バウムテストからわかったこと/潰瘍性大腸炎患者は自信をもつこと/「病は気から」は本当/ストレスがIBDを悪くしたケース/精神的リラックスがIBDをよくしたケース/韓国出張で手術を回避/退院して潰瘍性大腸炎を克服/明るい気持ちが病気をよくする/コンサートが病気を治す/小田和正にまつわるOさんの思い出/オフコースは素晴らしい/Oさんもコンサートでよくなった/仲良し3人組の神戸旅行/新しい治療法/患者と医者の心の絆/気持ちで変わる薬の効果/女性は治りやすい?/偉い坊さんにもらった妙薬/サイババの奇蹟/ヨガはなぜ健康によいのか?/現代社会では心理療法が必要/消化器科ではできない心理療法
第9章 妊娠と出産-元気な赤ちゃんが欲しい
IBDは遺伝しない/父親がIBDの場合/母親がIBDの場合/計画出産のすすめ/うっかり妊娠した場合/出産を決意したからには前向きに/栄養療法を継続して無事出産/やっぱり赤ちゃんが欲しい/一番うれしかったこと,辛かったこと
第10章 明日に向かって-上手なIBD学習の仕方
より良いQOLを目指して/今,この時を大切に/仲間と一緒にストレス発散/皆でしゃべって勇気をもとう/病気を見詰める勇気/IBDクラブはどこにある?/IBDクラブだけがすべてではない/地元の主治医選びが大切/医者選びも寿命のうち/主治医にもIBDを勉強してもらう/セカンドオピニオン/情報開示/明日に向かって
コラム
  • 病理用語の解説
  • タバコとIBD
  • CDAI
  • 検査が楽になる内視鏡
  • ステロイドと骨粗鬆症
  • 骨粗鬆症の予防と治療
  • 薬の有効率
  • エイコサペンタエン酸が効く?
  • 永井 明さんが健康食品を切る
*印は初版時の「コラム」より書き改められたもの