炎症性腸疾患の診療にたずさわる方のための Overview
Overview 炎症性腸疾患
- 【【著】】
朝倉 均/本間 照/杉村 一仁
- 【ISBN】
4-88875-137-4
- 【本体価格】
3,200円
- 【刊行年月】
2001年 10月
- 【版組】
A5判
- 【ページ数】
76ページ
- 【在庫】
なし
抗癌剤感受性試験の臨床的意義,新規抗癌剤の開発と臨床試験の現況,最近注目されている抗血管新生療法,分子標的療法の研究動向などについて最新の情報を解説.
序
潰瘍性大腸炎やCrohn病を含めた非特異性炎症性腸疾患は21世紀の重要な医療問題になりつつあります.北米では炎症性腸疾患患者は100万人近くおり,本邦でも潰瘍性大腸炎やCrohn病患者はどんどん増加している現状にあるからです.胃疾患は慢性胃炎,胃潰瘍,胃癌の成因にヘリコバクター・ピロリ菌が関与し,肝疾患では慢性肝炎,肝硬変,肝細胞癌の成因に肝炎ウイルスの関与が20世紀に明らかにされましたが,非特異性炎症性腸疾患や大腸癌の成因はまだ未解決であります.このような状況下で,common disease化しつつある潰瘍性大腸炎とCrohn病の診療は医師として必須のものになりつつあります.この疾患は正しい診断の基に,初期治療がその予後を左右しかねない疾患です.最初に不十分な治療を受けたために,病気が拗れてだいぶ進んでから専門医療施設に紹介されてくる事例をよく耳にするからです.
この本は,2000年神戸で開催されましたDDW-Japanの教育講演の内容を一冊の本にしたいとの出版社の要望で纏めてみました.この本の内容は炎症性腸疾患診療の世界の現状を踏まえて,本邦では如何にして診断し,治療しているのか,またそこに存在する問題点にも言及して,内容の充実を図りました.従いまして,新潟大学第三内科のデータのみでは不十分ですので,必要なデータを文献引用させていただきました.快く文献引用させて頂きました著者および出版社に感謝致します.また,一緒に診療と研究に従事してくださった腸グループの先生方に感謝いたします.
この本が難治性腸疾患の診療にお役に立てば幸甚です.
2001年9月
著 者
目 次
- はじめに
- 炎症性腸疾患の好発年齢と分布
- 第1部 潰瘍性大腸炎
- 1.潰瘍性大腸炎の定義と所見
- 2.潰瘍性大腸炎の診断
- 1)潰瘍性大腸炎の診断基準
- 2)潰瘍性大腸炎の生検所見
- 3)潰瘍性大腸炎の疾患概念
- a.潰瘍性大腸炎の活動期
- b.skip病変
- c.縦走潰瘍例
- 4)潰瘍性大腸炎の分類
- a.病変の拡がり(罹患範囲)による分類
- b.臨床的重症度による分類
- c.臨床経過による分類
- 5)初発年齢と予後
- 3.潰瘍性大腸炎の治療
- 1)潰瘍性大腸炎の薬物治療
- a.サラゾピリン,5-アミノサリチル酸
- b.サイトカインバランス
- c.白血球除去療法
- d.白血球除去療法,ステロイド併用療法
- 2)手術療法
- 3)重症例に対する治療および
- 4)合併症
- 5)潰瘍性大腸炎の治療システム
- 第2部 Crohn病
- 1.Crohn病の定義と所見
- 2.Crohn病の診断
- 1)縦走潰瘍
- 2)敷石像(cobblestone)
- 3)アフタと非乾酪性類上皮細胞肉芽腫
- 4)上部消化管所見
- 5)組織所見と病因
- 6)炎症性腸疾患の鑑別法
- 7)潰瘍性大腸炎とCrohn病の鑑別法
- 3.Crohn病の治療
- 1)ステロイド治療と成分栄養療法
- 2)Crohn病における炎症のプロセス
- 3)狭窄の治療法
- 治療のまとめ