大腸sm癌 内視鏡診断と治療
- 【編集】
武藤 徹一郎/多田 正大
- 【ISBN】
4-88875-111-0
- 【本体価格】
10,000円
- 【刊行年月】
1999年 05月
- 【版組】
B5判 上製
- 【ページ数】
215ページ
- 【在庫】
なし
取り扱いが難しい大腸sm癌の診断等内視鏡治療の適応と限界,病理サイドの問題点について6時間にわたって徹底討論し,転移の危険因子についてアンケート調査を行い,データの集積と分析を行った.
パネリスト
帆足 俊男/小泉 浩一/山野 泰穂/鶴田 修/清水 誠治/冨樫 一智/松田 圭二/田中 信治/太田 智之/正木 忠彦/五十嵐 正広/味岡 洋一/藤盛 孝博
目 次
- 第I部 治療方針決定のための内視鏡診断
- 第1章 通常内視鏡診断
- (1)早期大腸癌の通常内視鏡による深達度診断(帆足 俊男)
- 対象と方法/検討すべき所見/検討所見の出現率/症例呈示/まとめ
- 〔討論〕
- ◆弧の硬化像を認める場所
- ◆硬化像の所見は客観的指標になりうるか
- ◆誰にでも分かる簡単な指標とは
- (2)治療方針決定のための通常内視鏡診断(小泉 浩一)
- sm癌の特異的所見と非特異的所見/sm癌の特異的所見/通常内視鏡によるsm浸潤判定のdecision tree
- decision treeについてのディスカッション/decision treeによる診断法の弱点/まとめ
- 〔討論〕
- ◆表面性状(sm浸潤の直接的な所見)をみる
- ◆びらん・潰瘍・陥凹の臨床的な所見
- ◆誰にでも分かる所見はないのか
- ◆「表面構造をみる」か,「pit patternをみる」か
- 第2章 pit pattern診断
- (1)V型pit patternとsm癌の関連性について(山野 泰穂)
- V型pit patternの分類/◆形態別にみたpit patternと病理診断の関係/◆通常内視鏡でどこまで読めるか
- ◆pit patternで読めない所見/2種類のVN pit pattern/◆pit patternはどの程度組織像を反映しているか
- 〔討論〕
- ◆pit pattern観察で内視鏡治療の適応をどの程度正確に判断できるか
- ◆隆起型におけるpit pattern診断の意義
- ◆同じpit patternでも肉眼型によって深達度診断は変わる
- ◆pit pattern診断は陥凹型病変に有用
- ◆pit pattern所見の正診率
- ◆拡大内視鏡診断の意義
- (2)pit patternによる質および深達度診断(鶴田 修)
- 実態顕微鏡下pit patternとその組織の関係/各種色素によるpit描出能/拡大内視鏡と実体顕微鏡のpit patternの一致率/まとめ
- 〔討論〕
- ◆「pitが確認できない」とは
- ◆メチレンブルーとピオクタニンの違い
- ◆pit patternは隆起性病変に有用か
- ◆診断学に対するフィロソフィー
- ◆V型のpit patternが重要
- ◆拡大観察に通常観察を上回るメリットはどのくらいあるか
- 第3章 超音波内視鏡診断(清水 誠治)
- 検討の背景/grade分類/対象と方法/EUS像と浸潤度の対比/組織型とEUS像の関連/浸潤様式とEUS像/まとめ
- 〔討論〕
- ◆補助診断としてのEUSの価値
- ◆表面型腫瘍での有用性
- ◆EUS診断の問題点
- ◆EUS診断が有用である場合
- 第II部 sm癌の内視鏡治療の限界
- 第1章 深達度のうえからの限界
- (1)深達度診断によるsm癌細分類の取り決め(冨樫一智)
- sm癌の細分類の現況/sm癌細分類でみた各危険因子/リンパ節転移の危険因子/まとめ
- 〔討論〕
- ◆sm2の取扱いと問題点
- ◆深達度よりも先進部の組織型が重要である
- ◆追加腸切除の基準になりうる要件は
- (2)《sm細分類の問題点》―病理医からの問題提起―(味岡洋一)
- どこに“安全領域”のラインを引くか/sm浸潤長を正確に測ることは不可能である/臨床的な意味づけ
- 〔討論〕
- ◆臨床へのリポートは
- ◆sm分類には形態を考慮する
- ◆「大腸癌取扱い規約」は“ガイドライン”である
- ◆内視鏡切除例におけるsm絶対分類の浸潤長
- ◆粘膜筋板不明例には追加切除が必要
- (3)sm癌の転移率―アンケート集計から(松田圭二)
- sm癌に対する処置/深達度別のリンパ節転移率/どのようなsm癌がリンパ節転移しやすいか/まとめ
- 〔討論〕
- ◆sm2症例に対する追加切除の是非
- ◆標本の切り出し幅
- ◆癌の体積と転移率
- (4)sm癌転移症例
- 第2章 大きさのうえからの限界
- (1)分割切除の適用と限界―LSTを中心に(田中 信治)
- 分割切除・一括切除に対する考え方/LSTにおける検討/分割切除の実際:症例呈示/大きさ別にみた治療方針/まとめ
- 〔討論〕
- (2)治療法別切除率と水平摘除断端(太田智之)
- 〔討論〕
- ◆腫瘍の大きさと切除法
- ◆分割切除例の断端の診断と経過観察
- 第3章 追加切除の判定基準 (正木 忠彦)
- 追加腸切除の判定基準の問題点/リンパ節転移陽性のリスクファクター/問題の多い“脈管侵襲”の診断/浸潤先進部の組織型はリスクファクターとして有用か/まとめ
- 〔討論〕
- ◆ly,vの判定に多い偽陰性
- ◆偽陰性所見の取扱い
- 第III部 内視鏡治療の効果判定と局所再発
- 第1章 効果判定と局所再発 (五十嵐正広)
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- 内視鏡治療後の再発/sm癌内視鏡治療後の再発症例/水平断端と垂直断端の検討/局所再発防止/短期的なサーベイランス/遠隔転移も含めた長期的サーベイランス
- 〔討論〕
- ◆サーベイランスは本当に必要か
- ◆サーベイランスの効果については長期的な検討が必要
- ◆垂直断端の遺残は判定できるか
- 第2章 経過観察からみた再発率(太田智之)
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- 対象と分類,評価/経過観察例の再発率/まとめ
- 〔討論〕
- ◆局所再発を防ぐためには
- ◆有効なサーベイランスとは
- 第IV部 sm癌診療における病理医の役割
- 第1章 病理診断の不一致はなぜ生じるか (味岡洋一)
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- 内視鏡切除材料の病理組織診断の過程/病理診断の不一致が生じる理由/sm癌のEMRの効果判定とサーベイランスに重要な病理組織所見
- 〔討論〕
- ◆脈管を染める特殊染色
- ◆低異型度・高異型度の判定
- ◆内視鏡医が病理医へ聞きたいこと
- ◆病理医が内視鏡医へ望むこと
- 第2章 分子生物学の成果をどこまで活用できるか (藤盛孝博)
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- 浸潤部全体の異型度のgrading/極性の変化と癌の浸潤・転移/まとめ
- 〔討論〕
- 第V部 症例検討 この症例をどう考えるか?