基礎から、診断・治療・合併症・後療法までを集大成し、病態と臨床の最新の知見をわかりやすく解説


肝癌 診断と治療

  • 【編集】 沖田 極/市田 隆文
  • 【ISBN】 4-88875-095-5
  • 【本体価格】 19,000円
  • 【刊行年月】 1997年 04月
  • 【版組】 B5判 上製
  • 【ページ数】 347ページ
  • 【在庫】 なし

肝細胞癌の治療戦略を考えるために、基礎的研究から早期診断の実際、各種治療法の理論的背景と適応基準、予防治療まで、臨床医が知っておくべき最新の知識の詳細を、日常診療に役立てるようにわかりやすくまとめた。図70点、写真290点。
推薦の言葉
肝細胞癌は他の悪性腫瘍と違った多くの特徴を持っている。一般に、他の悪性腫瘍にあっては診断や治療がほぼ画一化し、医師間で多少の技術の差はあるものの、それほど患者の予後を著しく左右することがないように思われる。それに比べて、肝細胞癌ほど担当医によって予後が左右される悪性腫瘍は他にない。すなわち肝細胞癌患者の予後は、担当医の腕次第ということになる。それほど肝細胞癌は多彩な側面を持っているということであろう。
その第一は、肝細胞癌になるヒトは決まっていることである。すなわちB型ないしC型肝炎ウイルスの持続感染にもとづく慢性肝疾患から発生する。すなわちリスクグループがはっきりしているわけで、したがってこれらリスクグループを定期的に観察することにより、早期の癌の発見が容易である。また、このリスクグループにこれから積極的な予防対策が望まれている。
第二に本邦でみる殆どすべての肝細胞癌は肝硬変を合併している。したがって治療法の選択に当たっては、肝予備能を考慮しなくてはならないことで、したがって肝臓専門家でないと治療ができないことになる。
第三に、多中心性発癌の性格を持つことで、たとえ径が2㎝の細小肝癌症例であっても、よく見るとその半数近くに肝臓の他の部分に別個に発生したより小さな病変をみるし、また小肝細胞癌をエタノール注入療法や外科切除で完治せしめても、その後5年間の経過観察で殆どの症例で新たな発癌をみる。したがって初回治療後の経過観察が大切である。
第四に、進行癌では、血管浸潤が高頻度に起こり、門脈、肝静脈内に腫瘍塞栓をみる。ことに門脈本幹に生じたものでは、著しい門脈圧亢進状態となる。
以上のような多彩な特徴を考えながら、早期のものから高度進行癌に至るまで、異なった治療法の選択、一方では各種治療法を統合した集学的治療で対処しなければならない。
さて肝細胞癌は本邦では3万の年間死亡をみる頻度の多い悪性腫瘍である。したがって、先進国の中で、本邦ほど肝細胞癌を多く観察し、診断、治療はもとより、基礎研究においても進んでいる国はない。東南アジアはもとより、欧米でも今後肝細胞癌の増加が推測されている。私共は本邦で得られた肝細胞癌の基礎、臨床の知識を広く海外に発信し、この方面のリーダーとなって、世界の肝疾患診療のレベルの向上に努めることがわれわれに課せられた道であることを知らなければならない。
本書を推薦するにあたり、若い肝臓疾患に携わる方々が上記のような自覚を持って診療や研究に当たっていただきたいと考えている。

社団法人日本肝臓学会理事長
久留米大学医学部第二内科教授
序 文
再校正用のゲラを総てを見終わり,ここに『肝癌-診断と治療』という大著の概略がほぼ出来あがった.後は本屋の店頭に並ぶ姿を想像するだけであるが,何だか身体が震える.武者震いである.
そもそも本書の出版を考えたのは編著者の一人である市田隆文君であり,私は彼のこのすばらしい企画に誘われるままにのっただけではあるが,彼より少し先輩というだけの理由でこの序文を書くことになった.
それにつけても肝癌の患者は多い.消化器病を専門とする私の科でも全ベッドの8割は肝癌の患者で占められており,肝癌の診療は今や消化器病診療のなかで最重要診療項目と言って過言ではない.しかしながら,このような事態になるとかつて誰が予想できただろうか.私が肝癌の研究にのめり込んでいった昭和44年頃といえば,肝癌の患者に遭遇するのは年に2,3例ときわめて少なく,おかげで肝癌を研究テーマに与えられたら教室のなかでむしろ同情された.しかしどうだろう,今や肝癌の研究者はスポットライトの中にいると言って過言ではない.たくさんの患者と新しいテクノロジーの開発は多くの若い研究者を育んできたが,この上げ潮の状態はいつまでも続いてほしい.しかし,一方ではB型やC型肝炎患者の減少により肝癌も将来的には減少の道を辿るはずであるし,またそうなければならない.だからといって肝癌研究にスポットライトが当たらなくなるとは全然思ってもいない.開発途上国の夥しい患者数や欧米諸国におけるC型肝炎患者数の増加による肝癌患者増加予測など,今後はわが国の研究が世界に貢献する時代がきっと来るはずである.
本書は,見てもおわかりななるように,きわめて活発に肝癌の研究を行っている若手の研究者によって書かれたものである.したがって,独断と偏見に満ちた記述もないわけではないが,これこそが若い研究者に許されたエネルギーの発露ではないかとも思う.これから肝癌を学び,研究していく読者にはそこをしっかりと学んでいただきたいし,この本はそういう諸君のよい道標になってくれるものと確信している.論語の一節に,「思無益不如学(思えども益なし,学にしかず)」とある.学問の神髄をついている言葉である.
擱筆にあたり,20数年来影に日向に支えていただき肝臓病研究の醍醐味をお教えいただいた市田隆文君の父君,市田文弘名誉教授に感謝の気持ちをもって本書を捧げたい.

平成9年3月 教授室にて
山口大学医学部内科学第一講座教授
沖田 極
主要内容
第I部 肝癌の疫学
I.肝細胞癌の疫学……津熊秀明,味木和喜子,北川貴子
  • I. わが国の肝癌の現状、年次動向
    • 1. 罹患数・率、死亡数・率
    • 2. 罹患数・率の年次動向
    • 3. 年齢階級別罹患数の年次動向
  • II. 国際比較
    • 1. 国別、人種別比較
    • 2. 日本人と米国日系人との比較
    • 3. 日本人と在日韓国・朝鮮人との比較
  • III. わが国の肝癌死亡の将来予測
  • IV. 考察-肝細胞癌危険因子の動向
    • 1. HBVキャリア
    • 2. HCVキャリア
    • 3. 飲酒・喫煙習慣
II.胆管細胞癌の疫学……味木和喜子、津熊秀明、大島 明
  • I. 死亡数
  • II. 罹患数・率
  • III. 年齢階級別罹患数
  • IV. 世界の罹患率
第II部 肝癌の病因・成因
I.発癌様式……樋野興夫、山本敏樹
  • I. Oncodemeからみたヒト肝癌
  • II. ヒト肝癌発生におけるrate limiting step(慢性肝炎状態)
  • III. 癌化のtarget細胞の増加(肝硬変状態)
  • IV. 高癌化状態からみた肝発癌
  • V. Field carcinogenesisの立場からみた肝細胞癌再発
II.肝癌の背景病理……神代正道
  • I. 肝炎ウイルスによる慢性肝病変
  • II. 肝細胞癌合併肝硬変
    • 1. 肝炎後性肝硬変
      • 1) HBs抗原陽性肝硬変 2) C型肝炎ウイルス抗体陽性肝硬変
    • 2. 肝細胞癌合併肝硬変の年代的形態変化
  • III. 肝硬変の型の違いと肝細胞癌の関係
III.成 因
  • 1. B型肝炎ウイルス……小方則夫、市田隆文
    • I. 疫学データが示すHBV持続感染と肝癌の密接な因果関係
    • II. ウイルスによる細胞腫瘍化モデル
      • 1. 腫瘍ウイルスの分類と共通点
      • 2. 腫瘍ウイルスの腫瘍誘導能
      • 3. 腫瘍ウイルスによる細胞腫瘍化機構
    • III. 肝細胞・肝癌細胞におけるHBVゲノムの存在様態と発癌仮説
      • 1. 肝癌細胞におけるHBVゲノムの存在
      • 2. HBV組み込みをもつ肝細胞と肝癌細胞の多クローン性
      • 3. HBV特異メッセージの肝細胞と肝癌細胞における転写
      • 4. HBVのalpha satellite DNAへの組み込みに伴う肝癌細胞ゲノム構築の不安定化
    • IV. HBV, X遺伝子の機能と発癌仮説
    • V. HBV発癌動物モデル
    • VI. HBVの複製と肝細胞寿命・回転からみた発癌仮説
  • 2. C型肝炎ウイルス……横須賀收、神田達郎
    • I. 世界における肝細胞癌の発生率とC型肝炎ウイルス陽性率
    • II. C型慢性肝炎の肝細胞癌発生機構(B型慢性肝炎と比較して)
    • III. C型肝炎ウイルスによる肝細胞癌の発生機序について
  • 3.非B非C型の肝炎ウイルス……田中栄司、清澤研道
    • I. 非B非C型肝炎関連肝細胞癌の実態
    • II. 新しい肝炎ウイルス
    • III. HGVと肝細胞癌
  • 4. アルコール長期摂取……山内眞義
    • I. アルコール性肝細胞癌の頻度
    • II. 世界各国における肝癌死亡率、アルコール消費量、HCV抗体保有率からみた統計的検討
    • III. アルコールがなぜC型肝硬変から肝癌への進展を促進するのか?
  • 5. アフラトキシン(aflatoxin)……粟飯原景昭
    • I. アフラトキシンの発見とその影響
    • II. アフラトキシンの国際的規制の根拠
    • III. アフラトキシンB1の急性毒性
    • IV. 実験動物に対する経口発癌性
    • V. 霊長類に対する発癌実験
    • VI. アフラトキシンのヒトに対する急性毒性
    • VII. アフラトキシン疫学調査
    • VIII. 疫学調査の成果と今後の課題
    • X. 生体試料分析技術の進歩
  • 6. 経口避妊薬とホルモン剤……野口 孝,町支秀樹
    • I. 臨床報告例の文献的集計結果
      • 1. 蛋白同化ホルモン剤
        • 1)肝腫瘍の種類と頻度 2)臨床像 3)蛋白同化ホルモン剤の種類と服用期間 4)治療ならびに予後
      • 2. 経口避妊薬
        • 1)肝腫瘍の種類と頻度 2)臨床像 3)経口避妊薬の種類と服用期間 4)治療ならびに予後
      • 3. 臨床的診断
    • II. 実験的研究
      • 1. 蛋白同化ホルモン剤
      • 2. 経口避妊薬
        • 1)合成女性ホルモン誘発ラット肝癌モデルの確立 2)肝発癌機序の研究
  • 7. 自己免疫性肝疾患……住田厚子、沖田 極
    • I. 原発性胆汁性肝硬変と肝細胞癌
      • 1. 原発性胆汁性肝硬変に合併する肝細胞癌の頻度
      • 2. 本邦報告例についての検討
      • 3. 原発性胆汁性肝硬変は肝細胞癌の成因となりうるか
    • II. 自己免疫性肝炎と肝細胞癌
      • 1. 自己免疫性肝炎に合併する肝細胞癌の頻度
      • 2. 本邦報告例についての検討
      • 3. 自己免疫性肝炎は肝細胞癌の成因となりうるか
  • 8. Budd-Chiari症候群……鹿毛政義、中嶋英輔
    • I. 肝部下大静脈の膜様閉塞(MOVC)の疫学
    • II. MOVCの成因
    • III. Budd-Chiari症候群と肝細胞癌
      • 1. 全肝癌中のBudd-Chiari症候群の頻度
      • 2. MOVCを背景に発生する肝細胞癌の頻度とその特徴
    • IV. 肝細胞癌合併Budd-Chiari症候群の非癌部の病変
    • V. MOVCの肝細胞癌の発癌の機序
      • 1. 肝炎ウイルスの関与について
      • 2. 慢性うっ血肝と肝細胞癌の発生
  • 9. ヘモクロマトーシス……岡上 武,角水正道
    • I. 概念
    • II. ヘモクロマトーシスと肝発癌
  • 10. 糖 原 病……宮際 幹、市田隆文
    • I. 糖原病の肝腫瘍ならびに肝細胞癌の頻度
    • II. 形態学的特徴
    • III. 糖原病における肝腫瘍の発生機序
      • 1. グルカゴンとインスリンの不均衡
      • 2. グリコーゲン負荷と発癌
      • 3. 脂肪酸酸化と肝発癌
      • 4. その他
  • 11. α1-アンチトリプシン(α1-AT)欠乏症……遠藤康夫
    • I. α1-AT欠乏症と肝疾患
    • II. α1-AT欠乏症と肝細胞癌
    • III. α1-AT欠乏症と胆管細胞癌
    • IV. α1-ATにおける肝発癌
第III部 肝癌の診断
I.ハイリスクグループの設定とスクリーニング
  • 1. 肝細胞癌……岡 博子
    • I. ハイリスクグループの設定
    • II. スクリーニングの方法と問題点
  • 2. 胆管細胞癌……沖田 極
    • I. ハイリスクグループの設定は可能か
      • 1. 急性肝炎の既往歴
      • 2. 輸血歴
      • 3. アルコール多飲歴
      • 4. 喫煙歴
      • 5. トロトラスト検査
      • 6. 腫瘍マーカー
      • 7. 肝炎ウイルスマーカー
    • II. 多発地域でハイリスクグループの設定は可能か
II.血清学的診断
  • 1. アルファフェトプロテイン(AFP) ……青柳 豊、見田有作、鈴木康史
    • I. AFP値による診断
      • 1. AFP陽性率
      • 2. 疾患特異性とカットオフ値の設定
      • 3. 慢性肝疾患での上昇
      • 4. 腫瘍径別AFP陽性率
      • 5. AFPの経時的推移
    • II. AFP糖鎖変異による診断
      • 1. AFP糖鎖のフコシル化
      • 2. フコシル化率による鑑別
      • 3. 早期診断における意義
      • 4. フコシル化率の診断能とその限界
      • 5. 癌化によるフシコル化の活性化
      • 6. フコシル化率による肝細胞癌予知の可能性
  • 2. PIVKA-II……藤山 重俊
    • I. 肝細胞癌および各種疾患における血中PIVKA-II値
    • II. 腫瘍径およびstageとの関係
    • III. AFPとの関係
    • IV. AFPおよびPIVKA-IIのcombination assay
    • V. 肝硬変、慢性肝炎の経過観察例での腫瘍マーカー測定の有用性
    • VI. 治療効果判定および再発の指標としてのPIVKA-II測定の有用性
    • VII. 血中PIVKA-II値と生命予後との関係
    • VIII. 高感度PIVKA-II測定法による指標
  • 3. その他の腫瘍マーカー……藤山重俊
    • I. variant ALP
    • II. novel γ-GTP
    • III. carcinoembryonic antigen(CEA)
    • IV. CA19-9
    • V. CA50
    • VI. DU-PAN-2
    • VII. シアリルSSEA-1(SLX)
    • VIII. NCC-ST-439
III.画像診断
  • 1. 超音波診断(US)……坂口正剛,戸原恵二
    • I. 超音波断層法
      • 1. 肝腫瘤全般
      • 2. 肝細胞癌
    • II. ドプラ法
      • 1. ドプラ法の原理
      • 2. 肝腫瘤のドプラ信号
        • 1)波形 2)ドプラ信号の型 3)肝細胞癌の大きさの違いによるドプラ信号の特徴 4)肝細胞癌におけるドプラ信号の型の表す意味
    • III. CO2-US
      • 1. CO2-US
      • 2. 肝腫瘤のCO2-US
    • IV. 造影剤を用いたドプラ法
    • V. 肝細胞癌以外の肝腫瘤
      • 1. 転移性肝癌
      • 2. 嚢胞腺癌・嚢胞腺腫
      • 3. 細胆管細胞癌
      • 4. 胆管細胞癌
      • 5. 肝血管腫
      • 6. Adenomatous hyperplasia
      • 7. 限局性結節性過形成(FNH)
      • 8. 肝細胞腺腫
      • 9. 好酸球浸潤性腫瘤、好酸球性肉芽腫
      • 10. 膿瘍
      • 11. 壊死瘢痕
      • 12. Hemangiomyolipoma
      • 13. 肝梗塞
      • 14. 結核腫
      • 15. 肝嚢胞
      • 16. Biloma
  • 2. CT診断……松枝 清、板井悠二
    • I. 肝細胞癌の診断におけるCTの役割
    • II. CT検査の概要
      • 1. 経静脈性造影CT
      • 2. 血管造影下CT(門脈CTおよび肝動脈CT)
    • III. 進行肝細胞癌
      • 1. 進行肝細胞癌のCT所見
      • 2. 進行肝細胞癌のCT所見の多彩性
        • 1) 腫瘍形態 2) 内部構造 3) 腫瘍進展
      • 3. 進行肝細胞癌のCT診断における問題点
    • IV. 早期肝細胞癌および肝硬変に伴う結節性病変
      • 1. 早期肝細胞癌のCT所見
      • 2. 早期肝細胞癌のCT診断の問題点と対策
  • 3. MRI診断……荒木 力
    • I. 肝細胞癌の信号強度
    • II. 腫瘍塞栓
    • III. 造影効果
    • IV. 境界病変と早期肝細胞癌
    • V. 鑑別診断
      • 1. 海綿状血管腫
      • 2. 胆管細胞癌
      • 3. 転移性肝癌
      • 4. 脂肪を含む腫瘍
      • 5. 限局性結節性過形成
  • 4. 血管造影診断……友田 要、中村仁信
    • I. 進行肝細胞癌の血管造影所見
      • 1. 腫瘍血管の増生、被膜
      • 2. 動静脈シャント
      • 3. 腫瘍塞栓
      • 4. 腫瘍の形状からみた血管造影上の特徴
        • 1) 結節型 2) 塊状型 3) びまん型
      • 5. 鑑別診断
    • II. 初期の高分化型肝細胞癌
  • 5. 特殊な画像診断
    • a.増感剤を用いた静注US……工藤正俊
    • I. 超音波血流イメージについて
    • II. Levovistの特性、増感作用の理論的背景
    • III. Levovistの副作用
    • IV. Levovistの有用性
      • 1. 動脈血流の検出感度増強効果
      • 2. 門脈血流の検出感度増強効果
      • 3. シグナルパターンによる腫瘍鑑別能
    • V. 今後の展望
    • b. 動注CT……松井 修
    • I. 動注CTの手技
    • II. Helical CTを用いた動注CTによる肝細胞癌診断
      • 1. 微小肝細胞癌の描出
      • 2. 肝細胞癌の巨視的病理像の精細な検出
      • 3. CTAによる再生結節の描出
      • 4. 肝硬変に伴う肝細胞性結節性病変の悪性度診断
      • 5. 動注CTによる肝細胞癌の局在および進展度診断
IV.組織診断
  • 1. 早期肝細胞癌の生検組織診断……中島 収
    • I. 早期肝細胞癌の生検組織診断
      • 1. 不規則な細索状配列
      • 2. 核胞体比の増大を伴う細胞の小型化、および細胞密度の増大
      • 3. 腺房様あるいは偽腺管構造
      • 4. 脂肪化および明調細胞化
    • II. 鑑別診断
      • 1. 硬変肝にみられる結節性病変の場合
        • 1)大型再生結節 2)腺腫様過形成 3)異型腺腫様過形成
      • 2. 非硬変肝にみられる結節性病変の場合
        • 1)限局性結節性過形成 2)肝細胞腺腫 3)血管筋脂肪腫 4)カルチノイド腫瘍(肝原発、転移性) 5)肝細胞癌類似の転移性腫瘍
      • 3. 硬変肝あるいは非硬変肝にみられる結節性病変の場合
        • 1)混合型肝細胞癌 2)アルコール多飲者にみられる過形成結節
  • 2.転移性肝癌の病理……神代正道
    • I. 頻度
    • II. 形態学的特徴
      • 1. 肉眼像
      • 2. 組織像
      • 3. 微小転移巣
    • III. 血管構築
    • IV. リンパ行性肝転移
    • V. 原発性肝癌類似の組織形態を示す転移性肝癌
      • 1. 腎細胞癌
      • 2. カルチノイド腫瘍
      • 3. Hepatoid differentiationを伴う腺癌(Hepatoid adenocarcinoma)
  • 3.生検組織診断
    • a.組織生検の手技……真島康雄
    • I. 器具、装置
    • II. 生検までの準備
    • III. 生検における一般的な留意点
    • IV. 生検前後の管理上の留意点
    • V. 生検前の麻酔法
    • VI. 生検手技の流れ
    • VII. 生検の留意点と禁忌
    • b. High echoを示す組織診断……中島 収
    • I. 腫瘍性病変
      • 1. 良性腫瘍
        • 1)血管腫 2)血管筋脂肪腫 3)Biliary hamartoma (von Meyenburg complex) 4)肝細胞腺腫
      • 2. 悪性腫瘍
        • 1)肝細胞癌 2)肝内胆管癌 3)その他
    • II. 非腫瘍性病変
      • 1. 限局性脂肪浸潤
      • 2. 偽脂肪腫
    • c. Low echoを示す組織診断……近藤福雄
    • I. 低エコー像形成の機序
    • II. 症例の分類
    • III. 症例の呈示
      • 1. A群:肝硬変(あるいは慢性肝炎)を併存する病変
        • 1) 大型再生結節 2)腺腫様過形成
      • 2. B群:肝硬変(慢性肝炎)を併存しない病変
        • 1) 限局性結節性過形成 2) 結節性再生性過形成
      • 3. C群:肝硬変(慢性肝炎)の併存に無関係の病変
        • 1) 転移性肝癌 2) 極限性低脂肪化巣 3) 血管腫 4) 類上皮血管内皮腫 5) 偽リンパ腫 6) 非腫瘍病変 7) 副腎腫瘍
    • d. 血流の乏しい結節の組織診断……中野雅行
    • I. 肝細胞癌の画像診断の歴史
      • 1. Hypervascular肝細胞癌と小型肝細胞癌
      • 2. Angiographically undetected HCC
      • 3. Hypovascular肝細胞癌
    • II. 血流の乏しい肝細胞癌の病理組織像
      • 1. 肝生検組織像
      • 2. 手術標本の病理組織像
        • 1) 間質浸潤 2) 血管壁浸潤
    • III. 初期高分化型肝細胞癌と進行性肝細胞癌の関連
    • IV. 画像と組織所見との対比
    • V. 鑑別診断
V.遺伝子診断-現状と将来……西田直生志、畦地英全、福田善弘
  • I. 腫瘍の存在診断
    • 1. 染色体欠失
    • 2. p53遺伝子の異常
    • 3. p16(MTS1)遺伝子
    • 4. k-ras遺伝子
    • 5. テロメアーゼ活性
  • II. 腫瘍の質的診断
    • 1. 染色体欠失
    • 2. p53遺伝子
    • 3. 細胞周期関連遺伝子
    • 4. 薬剤耐性に関与する遺伝子
  • III. 転移に関与する遺伝子異常
  • IV. その他の遺伝子診断
第IV部 肝癌の治療
I.肝切除
  • 1. 肝細胞癌……今岡真義、佐々木洋
    • I. 肝切除術式
    • II. 切除可能な肝容量の決定
    • III. 肝細胞癌に対する肝切除の遠隔成績
      • 1. 肝切除例の5年生存率
      • 2. 腫瘍個数、腫瘍径、Vpの有無、AFP値、併存肝病変、TW、切除術式、治癒度と5年生存率
      • 3. 肝切除後の予後因子の多変量解析
    • IV. 術前処置としてのTAEの意義
    • V. 肝内再発に対する治療の選択
      • 1. 再発例における再発までの期間と再発後の生存期間の比較
      • 2. 肝内再発例の再発後生存率に寄与する因子の多変量解析
      • 3. 肝内再発に対する各種治療法別生存率の比較
      • 4. 再切除後の生存率と無再発生存率
      • 5. 再発時のstageと再切除後の無再発生存率
  • 2. 胆管細胞癌……川原田嘉文、田岡大樹
    • I. 肝切除の適応基準
    • II. 肝切除例の臨床成績
    • III. 局在部位別、肉眼分類別成績
    • IV. 症例呈示
      • 1. 胆管内発育型症例
      • 2. 腫瘤形成型症例
II.エタノール注入療法
  • 1. 早期肝細胞癌に対するPEI……杉浦信之、北 和彦、江原正明
    • I. 治療理論
    • II. 適応基準
    • III. 手技と実践
      • 1. 手技
      • 2. 注入量
      • 3. 治療効果判定
        • 1) 超音波所見 2) 造影CT所見
    • IV. 臨床成績
    • V. 合併症
    • VI. 肝内非治療部再発
  • 2.大型肝細胞癌に対するPEIT……椎名秀一朗、今村雅俊、小俣政男
    • I. 大型肝細胞癌に対するPEITの具体的手技と治療成績
      • 1. 対象および方法
      • 2. 成績
III.マイクロ波凝固治療……関 寿人、井上恭一
  • I. マイクロ波とは
  • II. マイクロ波組織凝固システム
  • III. PMCT手技
  • IV. 適応
  • V. 治療の効果判定
  • VI. 治療成績
  • VII. 副作用、合併症
IV.肝細胞癌に対するChemo-lipiodolizationとTAE療法……市田隆文
  • I. Chemo-lipiodolization
    • 1. 製剤の開発と治療理論
    • 2. 適応と禁忌
    • 3. 臨床成績
    • 4. 副作用
    • 5. 問題点
    • 6. 臨床応用と併用療法
  • II. TAE療法
    • 1. 歴史と治療理論
    • 2. 適応基準
    • 3. 臨床成績
    • 4. 副作用、合併症
  • III. 最新のTAE療法
    • 1. リピオドールTAE療法
    • 2. 区域リピオドールTAE療法
    • 3. 多変量解析と予後因子
  • IV. 集学的治療
V.動注化学療法……田中正俊,谷川久一
  • I. 皮下埋め込み型動注ポートを用いた動注化学療法の手技
  • II. 動注化学療法の報告
  • III. CDDPと5-FUを併用した動注化学療法の成績
VI.化学療法……岡田周市、奥坂拓志、石井 浩
  • I. 適応
  • II. 抗癌剤の種類と投与方法
  • III. 抗腫瘍効果
  • IV. 化学療法施行例の遠隔成績
  • V. 副作用
VII.温熱療法……吉川敏一、古倉 聡、近藤元治
  • I. 作用機序について
  • II. 方 法
    • 1. 全身温熱療法
    • 2. 局所温熱療法
      • 1)外部加温 2)内部加温 a.腔内加温 b.組織内加温 3)磁性体を用いた加温
  • III. 一過性塞栓剤を用いた温熱療法
VIII.放射線療法……狩野裕一、松永尚文
  • I. 治療理論
  • II. 手技と実践
    • 1. 根治療法としての放射線療法
    • 2. 対症療法としての放射線療法
  • III. 臨床成績
    • 1. 外照射
    • 2. 内部照射
  • IV. 合併症
  • V. 将来の応用の可能性
  • VI. 限界と問題点
IX.陽子線照射療法……松崎靖司、千葉俊也、田中直見
  • I. 新しい放射線療法-重荷電粒子線治療
    • 1. 重荷電粒子腺とは
    • 2. 重荷電粒子線治療の現状は
    • 3. 陽子線照射治療法の現状-陽子線とは
    • 4. 肝癌に対する陽子線治療の実際
      • 1)陽子線治療計画 2)照射方法 3)照射効果 4)副作用 5)生存率
  • II. 陽子線照射の適応
  • III. 今後の展望
X.免疫療法……西原利治、前田 隆、大西三朗
  • I. 非特異的免疫療法
    • 1. 生物学的反応賦活剤(BRM)の治療理論と実際
    • 2. LAK療法の治療理論と実際
    • 3. TIL-LAK療法とサイトカイン遺伝子導入TIL療法の治療理論
  • II. 特異的免疫療法
    • 1. 腫瘍特異抗原を認識するCTLの治療理論と実際
XI.ホルモン療法……恩地森一、松浦文三
  • I. 基礎的検討
    • 1. 実験動物
    • 2. ヒト
  • II. ホルモン療法の実際
    • 1. 実験動物
    • 2. ヒト
XII.遺伝子治療……松下栄紀、金子周一、小林健一
  • I. 遺伝子治療の手法
  • II. 肝細胞癌の遺伝子治療
XIII.肝細胞癌と肝移植……橋倉泰彦、川崎誠治
  • I. 治療成績
  • II. 肝移植後の予後を左右する因子
  • III. 肝移植後における肝細胞癌再発の要因
  • IV. 補助化学療法の有用性
第V部 肝癌の予防治療
I.レチノイド……沖田 極
  • I. レチノイドは化学的肝発癌を抑制する
  • II. 非環式レチノイドはヒトの肝細胞癌の二次発癌を抑制する
II.インターフェロン……西口修平、塩見 進、田中 隆
  • I. 肝発癌抑制の臨床的検討
  • II. IFNの発癌抑制の作用機序
III.小柴胡湯……坂井田功、沖田 極
  • I. 小柴胡湯の薬理作用
    • 1. 免疫調節作用
    • 2. 抗腫瘍作用
  • II. 小柴胡湯の動物実験における発癌予防効果-線維化抑制作用も含めて
  • III. 臨床における小柴胡湯の肝発癌予防効果の検討
IV.カロテノイドによる肝細胞癌発生の化学予防……神野健二、谷水正人、兵藤一之介
  • I. 肝細胞癌の化学予防の背景
  • II. 肝細胞癌発生における化学予防物質
  • III. 慢性肝疾患における血中カロテノイドの変動
  • IV. カロテノイドによる慢性肝疾患からの発癌予防の試み
  • V. 慢性肝疾患における微量元素、脂溶性ビタミンの変動
  • VI. 肝細胞癌予防におけるサロゲートマーカー
  • VII. カロテノイドによる肝癌予防の基礎研究と臨床試験の展望