めざましく進歩する消化器がんの最新薬物療法
消化器がん薬物療法2010
- 【【編集】】
市倉 隆/市川 度
- 【ISBN】
978-4-88875-228-2
- 【本体価格】
4,200円
- 【刊行年月】
2010年 04月
- 【版組】
A5判
- 【ページ数】
280ページ
- 【在庫】
なし
がんに対する薬物療法の進歩にはめざましいものがある.とくに注目されるのは,従来型の抗がん剤に加え,分子標的薬が日常臨床の現場に導入されたことである.
分子標的薬導入とともに近年大きく変化した点が,薬物療法を扱う人的資源の充実である.悪性腫瘍の内科的治療を専門とする診療科が,大学病院をはじめ多くの施設に導入され,看護師や薬剤師を含めた,チームとしての診療体制も整ってきている.
本書が日進月歩の消化器がん薬物療法に関する最新の知見を提供し,治療成績向上の一助ともなれば望外の喜びである.
目 次
- 第1部 総論
- 1 消化器がんに対する薬物療法の考え方
- 抗腫瘍効果と有害反応/がん薬物療法の適応/がん薬物療法の目的/消化器がん薬物療法のピットホール
- 2 がん薬物療法の効果判定
- 抗腫瘍効果判定基準/効果判定基準の変遷/抗腫瘍効果の評価の目的/胃癌取扱い規約効果判定基準/内視鏡による抗腫瘍効果判定法の実際/RECIST guidelines version1.1/抗腫瘍効果の評価の問題点と今後
- 3 薬物動態学と薬力学
- 薬物応答と臨床薬理学/薬物動態学/薬力学/薬物動態・薬力の個体差と個別化医療
- 4 薬剤耐性の機序
- 耐性メカニズムと規定因子/耐性メカニズムの臨床検証
- 5 抗がん剤感受性試験の意義
- 抗がん剤感受性試験の実際/多施設共同研究報告/最近の臨床試験/保険適応となった根治度C胃がん対する抗がん剤感受性試験の実際
- 6 分子標的治療
- 効果と毒性/分子標的治療とバイオマーカー/分類と命名法/臓器別分子標的治療の概要/耐性とその克服への試み
- 7 がん薬物療法における有害事象対策
- 悪心・嘔吐/下痢/口内炎/骨髄抑制/神経障害/皮膚障害/腎毒性/浮腫/肺障害/Infusion reaction/その他 心毒性,白質脳症
- 8 臓器障害時の化学療法
- 臓器機能障害時の化学療法の基本原則/各化学療法剤の臓器機能障害時の注意点/白金製剤/フッ化ピリミジン系薬剤/Methotrexate(MTX)/Gemcitabine(GEM)/Mitomycin C (MMC)/タキサン系/Irinotecan (CPT-11)/Doxorubicin/分子標的治療薬
- 9 外来化学療法
- ファーストステップ/オリエンテーション/化学療法レジメンのオーダー/薬剤師による抗がん剤の準備/看護師による抗がん剤の準備/治療当日のカンファレンス/化学療法前の主治医(外来担当医)による診察/外来化学療法室での受付/情報収集と抗がん薬のミキシング/化学療法実施/化学療法終了/診療報酬請求に必要な条件
- 10 消化器がん薬物療法におけるリスクマネジメント
- 11 消化器がん薬物療法の将来展望
- 分子標的治療と個別化/胃がんに対する新規抗がん剤開発の現状と将来/大腸がんで開発中の新規抗がん剤/薬物療法全体としての将来展望
- 第2部 消化器がん薬物療法に用いられる薬剤
- 1 5-FU系薬剤
- 5-fluorouracil (5-FU)の作用機序/Biochemical modulation/UFT・S-1・capecitabine
- 2 白金製剤
- Cisplatin(CDDP)/Oxaliplatin(L-OHP)
- 3 タキサン系薬剤
- 適応/胃癌におけるDTX/胃癌におけるPTX/食道癌におけるDTX
- 4 CPT-11
- イリノテカンの構造式,作用機序/代謝/薬物相互作用/有害事象とUGT1A1遺伝子多型
- 5 Gemcitabine
- 有効がん腫/作用機序/体内動態/おもな副作用/投与の留意事項
- 6 チロシンキナーゼ阻害薬
- 作用機序,体内動態,有害事象(投与の際の留意事項)/Imatinib/Sorafenib/Sunitinib:最近のトピックス
- 7 モノクローナル抗体
- 作用機序・体内動態・有害事象/bevacizumab:最近のトピックス/cetuximabとpanitumumab:最近のトピックス
- 第3部 各論
- 1 食道がんに対する薬物療法
- 目的/各ステージにおける化学療法,化学放射線療法の位置づけ/全身化学療法/根治的化学放射線療法
- 2 胃がんに対する薬物療法
- 本邦における標準的治療の確立/欧米における胃癌化学療法の変遷/今後の展望
- 3 胃がんに対する術前・術後補助療法
- 「リンパ節を適切に郭清することは胃がん治療成績を改善する」/日本における補助化学療法の臨床試験/欧米における補助療法に関する臨床試験/韓国など東アジアにおける補助療法に関する臨床研究/分子標的薬導入後に予想される臨床研究
- 4 大腸癌に対する薬物療法
- I.標準化学療法の変遷
- 5-FU/CPT-11/L-OHP/経口フッ化ピリミジン製剤/治療法の選択
- II.分子標的薬
- Bevacizumab/Cetuximab/Panitumumab
- 5 大腸がんに対する術後補助化学療法
- 欧米における標準治療/わが国における補助化学療法/今後の課題
- 6 膵・胆道がんに対する薬物療法
- 7 肝細胞がんに対する薬物療法
- 進行肝細胞がんに対する全身性化学療法/肝動注化学療法/補助化学療法
- 8 転移性肝がんに対する薬物療法
- 9 消化管悪性リンパ腫に対する薬物療法
- 悪性リンパ腫の治療にあたって/MALT/Follicular lymphoma/DLBCL(Aggressive lymphoma)に対する治療/Mantle cell lymphomaの治療/T細胞性リンパ腫
- 10.GISTに対する薬物療法
- Imatinib mesilate(メシル酸イマチニブ:Glivec)/imatinib耐性/Sunitinib malate(リンゴ酸塩スニチニブ:Sutent)