名調子 ---- 楽しく学べる鈴木節をご堪能ください
RODうんちく話
Co-medical staffsのためのROD
- 【著】
鈴木 正司(信楽園病院)
- 【ISBN】
4-88875-172-2
- 【本体価格】
2,400円
- 【刊行年月】
2005年 05月
- 【版組】
A5判
- 【ページ数】
278ページ
- 【在庫】
なし
序 文
本書は決して教科書的な内容ではないし、そのつもりで書いたものでもない。RODに関心を持つ透析医療の関係者に知って貰いたい話や、それにまつわる裏話を物語風に綴ったものである。仕事を離れて、ゴロリと横にでもなって、気楽に読んで頂く本である。
本文は季刊誌「腎と骨代謝」の連載記事“Co-medical StaffsのためのROD」として1992年から13年間に亘り書き続けたものに一部加筆し、さらにいくつかのグループに分類し編集したものである。
1年に4回の掲載、つまりは3ヶ月に1回の比較的に楽な連載ものと考え、安易に引き受けてしまったものの、締め切り日が近づく度に「さて、何をとりあげようか?」と焦ることの多い仕事であった。それでも何時かは書きたいこと、書いて見たいこと、常に疑問に思っていることで徹底的に調べて見たいこと、日常の乱読の合間にふと目にした記事など、話題はいくらでも膨らんでいくことは楽しみでもあった。
取材のために日常の仕事とはかけ離れて、ギリシャ神話にのめり込んだり、副甲状腺の発見の歴史を調べたり、そもそも「副甲状腺」か「上皮小体」かの文献を探したり、「骨粗鬆症」の漢字の意味を調べたりといろいろな寄り道をさせて頂いたが、幸いにもこれは自分の生活史を多彩にすることに意外にも役立つものとなっている。定年も間近い初老の医師にとっては、むしろ頭の体操みたいなもので、ボケ防止には結構な薬ですらあった。
出版社の方々に促されて、ようやく単行本にする決意をしたが、それも偶々小生が本年の第50回日本透析医学会・学術総会の会長をお引き受けすることになったことがきっかけである。編集されたゲラを通読してみると、あれも取り上げていない、これも書いていないなど、我ながら偏った取り上げかたばかりが目につき、決して立派な出来とは思えないが、その時々に取材した面白い薀蓄話も少なくなく、読者の皆様方にも喜んでもらえる内容となったと自負している。本書を読んで、周りの同僚に「知ったかぶり」をして貰えれば、著者の望外の喜びでもある。
平成17年5月 著者
目 次
- 連載のはじめにあたって
- 第1章 RODのはじまり
- RODのはじまり
- 第2章 副甲状腺,副甲状腺ホルモン
- 1.副甲状腺(上皮小体)をみつけるまで
- 2.『エレファントマン』とROD
- 3.最初の副甲状腺(上皮小体)摘出手術が行われる以前の話
- 4.初めての副甲状腺(上皮小体)摘出手術
- 5.慢性腎不全患者での初めての副甲状腺摘出手術
- 6.目の敵にされる副甲状腺ホルモン
- 7.副甲状腺ホルモン(PTH)が不足するとどうなる? ---- 胸腺がPTHを産生する?
- 8.PTHの骨に対する反応性が低い…それがどうした? ---- ほろ苦い反省
- 9.腎不全でありながらPTHが低いなんて?
- 10.「無形成骨」と呼ばれる奇妙なタイプの骨病変が増えている
- 11.エリスロポエチン(rHuEPO)は低PTHの原因か?
- 12.副甲状腺に薬液を注入する
- 第3章 ビタミンD
- 1.カルシウムは1日600mg,ではビタミンDはいくら必要なのか
- 2.「紫外線100%カット」の化粧品
- 3.カルシウムを運ぶ者 ---- 4番目のビタミン
- 5.副甲状腺機能亢進症への新しいビタミンD治療の展開が始まった
- 6.ビタミンDは貧血をも改善する?
- 7.ビタミンDの効き方にも個人差がある?
- 8.牛乳にはビタミンD,小麦粉には鉄を
- 第4章 リン
- 1.血清リンの測定は“無機リン”……なのに「サリン」も「VX」も“有機リン”
- 2.リン(燐)は「光を運ぶ者」 ---- リンの発見とその命名
- 3.もう一度リン(P)の吸収を考えよう
- 4.リンをめぐるもう少し新しい話題 ---- 腸内細菌には餌を与えない?
- 5.血管が骨になる?
- 6.ベールを脱ぎ始めた期待の新人 ---- フォスファトニン
- 7.高リン血症の救世主か,使い勝手の悪い厄介者か? ---- 塩酸セベラマー
- 8.リンをさらにもう一度考える ---- 細胞の中のリンとその役割
- 9.魚の骨を食べるとリンの摂取が増える?
- 第5章 アルミニウム
- 1.人類とのもっとも長い付き合い ---- アルミニウム
- 2.有害か無害か?----「乱切刀」誌上でのアルミニウムをめぐる論争
- 第6章 カルシトニン
- 1.カルシトニンの発見をめぐって
- 2.カルシトニンの役割は終わったか?
- 3.カルシトニン(CT)には鎮痛作用がある?
- 第7章 骨代謝
- 1.1万分の1のさらに1万分の1,つまり1億分の1 ---- 細胞内のカルシウム濃度
- 2.マクロファージはウルトラマン? ---- 合体して巨大な破骨細胞となる
- 3.骨をむさぼる ---- 破骨細胞のはたらき
- 4.ALPが高いから ---- 本当に骨がどんどん壊れているの?
- 第8章 骨
- 1.くる病と骨軟化症
- 2.原始人とくる病
- 3. 北京原人の骨を訪ねて
- 4.Peiping Union Medical Collegeを探して
- 5.多発性の肋骨骨折を伴う5,000年前の凍結ミイラ男
- 6.ゾウの骨とネズミの骨
- 7.X線発見のニュースがヨーロッパを駆けめぐる!----103年前の1月4日
- 第9章 骨と骨粗鬆症
- 1.昨今はやりの“骨粗鬆症”について
- 2.橈骨遠位端1/3の部位でのDEXA法による骨塩量測定 ---- radiusをradiationする
- 3.宇宙飛行士の骨はやせ細る?----「宇宙性骨異栄養症」の出現
- 4.骨の塩は涙では溶けない
- 5.よく考えられた宇宙実験 ---- 宇宙ガエルと宇宙ニワトリの孵化実験