インスリン抵抗性症候群

より安全な処置法を目指して

  • 【編集】 秦 葭哉
  • 【ISBN】 4-88875-108-0
  • 【本体価格】 11,000円
  • 【刊行年月】 1998年 09月
  • 【版組】 B5判 並製
  • 【ページ数】 347ページ
  • 【在庫】 なし

序文より
インスリン抵抗性の本態は、現在まだ明らかにされているとはいい難い。インスリンの作用不全を重視する立場があり、また、インスリンの代償的過剰分泌による高インスリン血症を重視する立場もある。内分泌関係からはホルモン調節異常を原因とみる考えもあり、循環器系の領域からは末梢循環不全を重視する立場があるといった具合である。しかし、これらの背後には、必ず身体組織のインスリンに対する感受性の低下、すなわちインスリン抵抗性が存在しているわけである。(中略)インスリン抵抗性症候群の本質が奈辺にあるかについては、一応、今後の検討をまつとして、ここでは動脈硬化の発症基盤として、新しい意味を持つ多代謝異常症候群(Pluri-metabolic syndrome)あるいは複合危険因子症候群(Multiple risk factor syndrome) さらには成人病,生活習慣病などと呼ばれる病態の本態を「インスリン抵抗性」の増大とみなして、その概念,病態、動脈硬化との関係、予防、治療の各面について、関連領域の専門家に考察していただいた。
目 次
第1章 インスリン抵抗性症候群総論
1.インスリン抵抗性症候群の臨床的意義
2.インスリンの機能と生体の反応
3.インスリン抵抗性とは
4.インスリン抵抗性と遺伝子
5.インスリン抵抗性症候群の病理発生機序
6.インスリン抵抗性症候群の疫学研究
第2章 インスリン抵抗性症候群の基礎類似概念
1.Syndrome X
2.Deadly Quartet
3.Familial Dyslipidemic Hypertension
4.Hyperapobetalipoproteinemia
5.Tangled Web of Coronary Risk Factors
6.成人病と多代謝異常症候群
第3章 インスリン抵抗性症候群としてみた病態
1.インスリン抵抗性の臨床診断法
2.インスリン抵抗性と肥満
3.インスリン抵抗性と耐糖能障害、糖尿病
4.インスリン抵抗性と高脂血症
5.インスリン抵抗性と脂肪肝
6.インスリン抵抗性症候群としての高尿酸血症
7.インスリン抵抗性と高血圧
8.インスリン抵抗性症候群と動脈硬化-「脂質仮説」と「インスリン抵抗性仮説」
9.インスリン抵抗性と凝固線溶系
第4章 インスリン抵抗性を改善する生活・食事因子ならびに薬物
運動/塩一減塩/魚油/食物繊維/難消化性オリゴ糖α1遮断薬/ACE阻害薬/経口糖尿病薬/Fibrate系高脂血症薬
第5章 インスリン抵抗性症候群の予防と治療
1.インスリン抵抗性症候群の予防と管理法
2.インスリン抵抗性症候群と薬物療法の方針