● CKD-MBDは全身疾患であり,生命予後に大きな影響を与える


CKD-MBD 3rd Edition

Chronic Kidney Disease - Mineral and Bone Disorder

序文より
CKD-MBDによる心血管イベントリスクは、おも主に血管石灰化によるものと当初考えられていたが、その後さまざまな液性因子の関与が明らかになり、これらの心血管系の病態も、CKD-MBDの広い概念に含まれると認識されるようになった。これらの病態は、長期透析患者だけでなく、保存期患者、腎移植患者でも、次々と解析が進んでいる。
KDIGOのガイドラインが部分改訂された直後のタイミングで、CKD-MBD 第3版を皆さんにお届けすることができ、大変嬉しく思う。基礎から臨床まで、広い範囲をカバーし、最新の知識を整理し、将来の展望を語ることができたのではないだろうか。
目次
序論
第1章 ミネラル代謝の生理
第2章 CKD-MBDの病態機序
第3章 CKD-MBDの診断と評価
第4章 CKD-MBDの予防と治療(保存期)
蛋白尿とCKD-MBD /リン負荷をどう軽減するか/二次性副甲状腺機能亢進症の管理(活性型ビタミンD,天然型ビタミンD)/小児の成長障害にどう対処するか?
第5章 CKD-MBDの予防と治療(透析期)
血清P,Ca濃度の管理/副甲状腺機能の内科的管理/治療抵抗性の副甲状腺機能亢進症にどう対処するか?/透析患者の骨折リスク(骨脆弱性)の評価/カルシフィラキシスの病態と治療/透析条件,透析液組成はCKD-MBDの進行に影響するか?/腹膜透析患者におけるCKD-MBD/アミロイド関連骨関節症
第6章 CKD-MBDの予防と治療(腎移植後)
第7章 CKD-MBDの治療薬剤
活性型ビタミンD製剤(VDRA)/天然型ビタミンD徐放製剤/シナカルセト塩酸塩(エボカルセト含む)/エテルカルセチド塩酸塩/カルシウム製剤/鉄含有リン吸着薬/リン吸着薬(ポリマー製剤:セベラマー,ビキサロマー)/炭酸ランタン/ビスホスホネート/選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)/デノスマブ/骨形成薬(抗スクレロスチン抗体製剤,PTH製剤)/ビタミンK/CKD-MBD治療薬の医療経済
第8章 CKD-MBD に残された課題
本書刊行の意図
【KDIGOの改訂ガイドラインが2017年に出版された】
・日本の透析医療における影響はあるのか
・カルシウム・リンの管理(薬剤の適正使用が必要になる。カルシミメティクスの適応の正しい知識も)
・食事の重要性。低栄養にならないようにリン・Ca の管理を行う。
・日本透析医学会の将来の改訂ガイドラインへの適合
・骨ミネラル代謝の概念の広がり(心血管リスク⇔生命予後⇔栄養)
・カルシミメティクスの薬剤の種類が増えた→薬剤の選択肢が増えた一方、より適正な薬剤使用法が必要になった。