バスキュラーアクセスを極める-その作製とマネジメント

維持血液透析を円滑に継続していくためには、いうまでもなく機能と形態に優れた安全なバスキュラーアクセス( VA )の存在が欠かせません.(中略)
30万人の血液透析患者が年間150回の血液透析を受けるとすると、その総計は4,500万回/年という膨大な数字になります。(中略)死亡や入院あるいは入院期間の延長を要する重篤な事故は、100万透析当たり32.4件と報告されています. とはいえ、重篤な事故は抜針事故・血液回路の離断事故・穿刺や止血の不備などVAに関連した事故に多いことを十二分に認識したいと考えます. この事実は奇しくもVAが透析患者の命綱(ライフライン)であると同時に、アキレスの腱でもあることを教えてくれていましょう.
最近ではVAに関する業務が以前に増して、医師・看護師・臨床工学技士三者の優れた分業になってきて、VAの管理がきめ細やかになってきました. この点を継続していくことが、きわめて重要だと認識しております。VA関連の知識と技能は透析スタッフいずれの職種にも等しく必須とする事項の一つであることを、明記したいと思います。
序説 維持血液透析のVA:その現況と課題-基礎疾患および患者背景の変貌への備え
1章 術前のマネジメント
1.術前の準備,血管マッピング
2.VAの種類・術式の選択
3.AVGにおけるグラフトの種類と選択
2章 術中のマネジメント
1.手術の最重要項目
2.手術における工夫
3.麻酔法の選択
3章 術直後のマネジメント
1.術直後から抜糸まで
2.運動や薬物によるシャントのmaturation促進法と開存率向上
3.術直後に発生しうる疾患およびその対処法
4章 術後および日常的なマネジメント
1.穿刺
2.AVF,AVGと心機能,全身のスチール
3.日常的なVA管理法(ケア)
5章 VA機能の修復
1.機器による診断方法(エコー,CT,MRI,血管造影など)
2.PTA法による修復
3.外科的修復手技(VA感染例の処置を含む)
6章 血管内カテーテル留置法
7章 VAガイドライン
  • 日本透析医学会ガイドラインの概略と海外ガイドラインの動向