新薬も含め実地臨床に必要なup-to-dateの知識を解説
大腸疾患NOW 2004
- 【【監修】】
武藤 徹一郎
- 【【編集】】
渡辺 英伸/杉原 健一/多田 正大
- 【ISBN】
4-88875-156-0
- 【本体価格】
5,400円
- 【刊行年月】
2004年 01月
- 【版組】
B5判
- 【ページ数】
202ページ
- 【在庫】
なし
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序 文
大腸疾患に関する研究発表は年々増加の一途をたどっている。日本消化器病学会、日本大腸肛門病学会、日本消化器内視鏡学会、大腸癌研究会さらに日本癌学会、日本癌治療学会を加えれば、毎年公表される情報は膨大な量になるだろう。しかし、それらの貴重な情報のうちどれだけが広く正しく認知され、日々の診療に役立っているのであろうか。臨床へのフィードバックがなければ、どんな研究も一部の専門家にとってのみ有益なものに過ぎなくなってしまうであろう。医療に関する限り、時間とお金を使った研究が趣味の世界に埋没してはならないと思う。一方、個人の努力による情報収集には限界があるという現実も忘れるわけにはいかない。かかる実状に鑑みて、大腸疾患に関する最新情報をできるだけ多数の医師に伝えるべく本書が企画された。本書を定期的に刊行し、
(1)1年間の大腸疾患に関する研究成果を知ることができる
(2)委員会や研究班の最新情報を把握できる
(3)わが国における名称、定義などを普遍化させ、海外へも発信する為の土台とする
などを目的として、1年に1回出版するannual bookとすることにした。『大腸疾患NOW2004』と名付けた所以である。本書では大腸癌と炎症性疾患に関しての現時点での重要な問題点が広範にわたって論じられており、非常に密度の濃い情報に満ちている。
癌に関する記述のかなりの部分は、大腸癌研究会におけるプロジェクト研究の成果であり、未発表の内容も数多くく含まれている。アンケート調査の結果に基づくものが多いが、貴重なオリジナルな内容も少なくない。多数の専門家の累積データーに基づくものだけに、一施設からの分析結果よりはるかに重みがあり信頼性もある。海外へ発信した方がよいデーターも豊富である。執筆を担当された先生方はいずれもその分野の超専門家であり、多忙な中でよくこれだけの原稿を書いて下さったものと驚くと同時に感謝している。読者は必要に応じた項目の頁を開けば、その情報の質と量とに圧倒されるであろう。この領域の多くの専門家が、本書から最新の情報を吸収し、さらに自らの研究、臨床に役立ててもらえれば幸いである。そうすれば、少数例での無駄な研究に時間を割く必要がなくなるであろう。所期の目的通り本書が毎年刊行されることによって、わが国の大腸学の成果が広く深く浸透することを願って止まない。
癌研究会附属病院院長 武藤徹一郎