2004年6月刊行


腎不全とリン

  • 【編集】 鈴木 正司/秋澤 忠男
  • 【ISBN】 4-88875-162-5
  • 【本体価格】 6,600円
  • 【刊行年月】 2004年 06月
  • 【版組】 B5
  • 【ページ数】 200ページ
  • 【在庫】 なし

腎不全とリンの問題をめぐる最新で充実した情報を満載
目 次
第I部 総論
1章 生体におけるリンの役割と制御……武田英二,竹谷 豊
  • I.体内でのリンの存在様式
  • II.リンの体内分布と動態
    • 1.細胞内リン
    • 2.細胞外リン
    • 3.血中リン
    • 4.骨中リン
  • III.リンの機能
    • 1.生体内でのリンの作用
    • 2.代謝調節作用
    • 3.グリコーゲン分解,解糖系活性化
  • IV.血中リン濃度の調節
    • 1.血中リン濃度の変動
    • 2.リン摂取量
    • 3.リン摂取量の評価
2章 食物とリン……長浜幸子
  • I.わが国の食の変遷
  • II.ヒトはどのようにして,どれだけのリンを摂取しているか
  • III.リンの必要量をどうとらえるか
    • 1.日本人のリン必要量
    • 2.透析患者のリン必要量
    • 3.カルシウムとのバランス
    • 4.リン/蛋白質比を抑えた献立づくり
  • IV.治療用特殊食品
3章 腸管におけるリン吸収機構とその制御……宮本賢一,瀬川博子,伊藤美紀子
  • I.腸管におけるリン吸収系
  • II.リントランスポーターを介するリン吸収系
  • III.腸管リン吸収における能動輸送および受動輸送系の調節
  • IV.腸管type IIbナトリウム依存性リン酸トランスポーター
  • V.ビタミンDによるtype IIbトランスポーターの調節
  • VI.食事性リンによるtype IIbトランスポーターの調節
  • VII.ニコチン酸およびニコチンアミドによるtype IIbトランスポーターの調節
  • VIII.FGF-23による腸管リン吸収の調節
  • IX.腎不全時における腸管リン吸収系の調節異常
4章 骨代謝とリン……矢野彰三,深川雅史
  • I.リンの動態
  • II.PTHおよびビタミンDとリン,骨代謝
    • 1.PTHと骨代謝回転
    • 2.リンの副甲状腺作用
    • 3.ビタミンDとリン・骨代謝
  • III.骨,軟骨におけるリンの直接作用
    • 1.軟骨細胞
    • 2.骨芽細胞
    • 3.破骨細胞
  • IV.phosphatoninとPHEX
    • 1.リン・骨代謝に対するPHEX作用
    • 2.posphatonin関連分子
5章 腎臓におけるリン排泄機構とその制御……石橋賢一
  • I.I型ナトリウム依存性リン共輸送体
    • 1.SLC17ファミリーの発見
    • 2.SLC17A1~A4
    • 3.SLC17A6~A8
  • II.II型ナトリウム依存性リン共輸送体
    • 1.SLC34A1
    • 2.SLC34A3
    • 3.SLC34A2
    • 4.SLC34の進化
  • III.IIa型ナトリウム依存性リン共輸送体の調節
    • 1.PTHによる調節
    • 2.フォスファトニンの発見
6章 細胞エネルギー代謝とリン……武田理夫,遠藤 仁
  • I.細胞エネルギー代謝とリン
  • II.尿細管上皮細胞での細胞エネルギー代謝とリン
  • III.骨格筋細胞での細胞エネルギー代謝とリン
  • IV.低リン血症の細胞エネルギー代謝に及ぼす影響
  • V.慢性腎不全での細胞エネルギー代謝とリン
7章 低リン血症の病態と鑑別診断……田中弘之
  • I.低リン血症の病態
    • 1.リンの動態
    • 2.低リン血症の病態
  • II.低リン血症の鑑別診断
    • 1.検査の注意点
    • 2.検査の組み合わせ
    • 3.低リン血症の重症度の鑑別
8章 高リン血症の病態と鑑別診断……北岡建樹
  • I.高リン血症とは
  • II.高リン血症はどのようにして出現するのか
  • III.原因疾患にはどのようなものがあるか
    • 1.腎機能の低下
    • 2.体内リンの過剰と欠乏
  • IV.鑑別診断はどのように進めるか
  • V.高リン血症の病態と症状
第II部 腎不全とリン
1章 腎不全におけるリン代謝……緒方浩顕,伊藤英利,田口 進
  • I.慢性腎不全におけるリン代謝異常とその影響・慢性腎不全でのリン代謝の概要
  • II.腎不全時のリン代謝調節
    • 1.リン検知機構
    • 2.二次性副甲状腺機能亢進症(2○HPT)
    • 3.腎でのリン代謝調節とFGF-23
    • 4.高リン血症と心血管病変
2章 副甲状腺とリン……溝渕正英,秋澤忠男
  • I.副甲状腺機能亢進症の発症機序
    • 1.カルシウム・リン調節機構
    • 2.血清Ca2+濃度とPTH分泌
    • 3.受容体発現の減少
  • II.リンと副甲状腺ホルモン
    • 1.リンと血中PTH濃度
    • 2.リンとPTH合成・分泌
  • III.リンと副甲状腺細胞増殖
    • 1.リン負荷による副甲状腺に増殖
    • 2.促進因子と抑制因子のバランス
    • 3.CaSRの関与
  • IV.副甲状腺でのリン感知機構
3章 腎不全状態の骨とリン……大城戸一郎,原 志野,横山啓太郎
  • I.腎性骨異栄養症(ROD)の病型
    • 1.線維性骨炎型(OF)
    • 2.骨軟化症型(OM)
    • 3.混合型
    • 4.軽度変化型
    • 5.無形成骨型(ABD)
  • II.腎性骨異栄養症の病態
    • 1.線維性骨炎・二次性副甲状腺機能亢進症
    • 2.骨軟化症
    • 3.無形成骨
4章 異所性石灰化とリン……大和田一博,栗原 怜
  • I.異所性石灰化の発症機序
    • 1.二次性副甲状腺機能亢進症(2○HPT)
    • 2.無形成骨(ABD)
    • 3.活性型ビタミンD製剤の使用
    • 4.リン吸着薬としてのカルシウム製剤の使用
    • 5.食事,骨からのリンの流入
    • 6.その他
  • II.異所性石灰化の臨床的意義
    • 1.血管壁の石灰化
    • 2.内臓の石灰化
    • 3.軟部組織の石灰化
  • III.異所性石灰化の対策と治療
    • 1.カルシウム,リンの管理
    • 2.外科的処置
第III部 腎不全におけるリンの制御
1章 低リン食の工夫と問題点……金澤良枝,中尾俊之
  • I.食品の蛋白質とリンの関係
  • II.保存期慢性腎不全食の蛋白質とリン摂取
  • III.維持透析食の蛋白質とリン摂取
  • IV.リンコントロールのための工夫と食事管理
  • V.リンコントロール食と薬物療法
2章 高リン血症の治療薬……
  • 2-1 高リン血症治療薬の流れ……安藤亮一
    • I.アルミニウム(Al)製剤
    • II.カルシウム製剤
      • 1.炭酸カルシウム
      • 2.酢酸カルシウム
      • 3.その他のカルシウム製剤
    • III.その他のリン吸着薬
      • 1.マグネシウム(Mg)製剤
      • 2.鉄製剤
      • 3.ニセリトロール
      • 4.コレスチミド
  • 2-2 塩酸セベラマー……衣笠えり子,大野恭史,伊藤英利
    • I.塩酸セベラマーの構造・物理化学的性質
    • II.非臨床試験
      • 1.in vitro試験
      • 2.in vivo試験
      • 3.薬物間相互作用
    • III.臨床試験成績
      • 1.第I相臨床試験
      • 2.第II相用量設定試験
      • 3.第III相比較臨床試験
      • 4.長期投与試験
      • 5.海外臨床成績
    • IV.塩酸セベラマーの副作用
3章 活性型ビタミンD投与とリン……秋山史大,風間順一郎
  • I.1,25Dのリン代謝調節機構
  • II.透析者への1,25D治療のリン代謝に及ぼす影響
    • 1.経口ビタミンD製剤とリン代謝
    • 2.ビタミンDパルス療法とリン代謝
4章 血液浄化法とリン除去
  • 4-1 透析と濾過によるリンの除去……峰島三千男
    • I.生体内でのリンの分布
    • II.血液透析によるリンの除去特性
    • III.各種血液浄化法とリンの除去特性
  • 4-2 透析時間の関与……千葉栄市
    • I.対象と透析方法
    • II.結果
      • 1.長時間透析における血清リン値
      • 2.1週間の血清リン値の推移
      • 3.リンの除去量
      • 4.リンの体内蓄積
      • 5.リンの副甲状腺ホルモン(PTH)分泌刺激
      • 6.長時間透析のリンと骨塩量
      • 7.6時間透析の骨塩量
      • 8.血清リン値と頸動脈hard plaque(HP)の形成
    • III.考察
    • IV.結論
  • 4-3 腹膜透析とリン……重松 隆,中山昌明,早川 洋
    • I.CAPD患者で血清リン濃度コントロールに考慮すべき因子
      • 1.透析液への持続的なリン除去
      • 2.残腎機能=尿量
      • 3.腸管リン吸収
    • II.CAPD患者におけるリン代謝と副甲状腺ホルモン(PTH)
      • 1.CAPD患者におけるリン除去量
      • 2.腎不全患者における緩衝臓器としての骨
      • 3.血漿PTH濃度の目標とすべきレベル
  • 4-4 連日透析とリン……小岩文彦,永山嘉恭
    • I.連日透析によるリン除去の機序
      • 1.透析療法とリン除去
      • 2.透析条件の影響
    • II.短時間頻回透析のリン除去における臨床的意義
      • 1.治療効果
      • 2.短時間頻回透析のリン除去効果
    • III.夜間連日透析のリン除去における臨床的意義
      • 1.治療効果
      • 2.夜間連日透析のリン除去効果
    • IV.連日透析療法のリン除去における問題点と対策
      • 1.リン除去における問題点
      • 2.対策
  • 4-5 リンキネティックモデル……山田敏生
    • I.血液透析に伴うリン濃度の推移
    • II.未知のリンプール
    • III.リン動態の試験的解析
    • IV.高除去効率透析時のリン動態
5章 血清リン濃度管理基準……秋澤忠男,柴田真希
  • I.K/DOQIガイドラインに基づく管理基準
    • 1.腎不全の重症度と血清リン
    • 2.腎不全の重症度と血清カルシウム
    • 3.血清カルシウム・リン積
    • 4.血清intact-PTH値
    • 5.透析液カルシウム濃度
    • 6.血液ガス
  • II.K/DOQIガイドラインのわが国への適応
    • 1.検体採取時期の相違
    • 2.血清カルシウム補正法の相違
    • 3.摂取カルシウム量の妥当性
    • 4.併用薬剤の相違
    • 5.透析液カルシウム濃度の相違
第IV部 リン代謝のトピックス
1章 血清リン濃度と透析患者予後……秋葉 隆
  • I.血清リン濃度が慢性透析患者の予後にかかわる機序
    • 1.体内のリンの分布
    • 2.体内のリンの役割
    • 3.慢性腎不全患者のリン濃度の調節異常と生体
    • 4.慢性腎不全患者のリン濃度異常と生体
  • II.血清リン濃度は慢性腎不全患者の生命予後決定因子か
    • 1.リン濃度を変動させる無作為化対照試験
    • 2.リン濃度をおもな観察項目とし,生命予後をendpointとした観察研究
  • III.生命予後以外のマーカーをendpointとした研究と今後の治療法の進展
2章 血管石灰化におけるリンの役割……城野修一
  • I.血管石灰化の進展におけるカルシウム・リンの関与
  • II.血管石灰化の調節機序に関する仮説
  • III.細胞外リン濃度と血管石灰化
  • IV.ナトリウム依存性リン共輸送体の関与
  • V.リンと骨関連蛋白
3章 血管石灰化の新しい画像診断……鶴田良成
  • I.冠状動脈石灰化指数(CAC score)
    • 1.測定方法
    • 2.意義
  • II.末期腎不全患者の冠状動脈石灰化指数
  • III.MDCTによる冠状動脈評価
4章 石灰化血管へのintervention……長谷弘記,常喜信彦
  • I.高度石灰化を伴う冠動脈狭窄病変の診断
    • 1.electric beam computed tomography(EBCT)
    • 2.血管内エコー
  • II.石灰化を伴う冠動脈狭窄病変の治療
    • 1.経皮的カテーテル・インターベンション(PCI)
    • 2.冠動脈バイパス術
  • III.インターベンション治療の限界
5章 新しいリン吸着薬の展望……井上浩義
  • I.リン吸着薬に望まれる要件
  • II.無機イオン製剤
  • III.陰イオン交換樹脂製剤
6章 新しいリン吸収阻害薬の展望……宮本賢一,瀬川博子,桑波田雅士
  • I.腎近位尿細管に発現するリントランスポーター
  • II.小腸上皮細胞に発現するリントランスポーター
  • III.これまでに開発が試みられたリン吸収阻害薬
    • 1.phosphonoformic acid(PFA)
    • 2.ニセリトロール
  • IV.現在,開発が進められている化合物
    • 1.phosphorylated phloretine derivative
    • 2.新規リン利尿因子(FGF-23,MEPE,FRP-4)
7章 糖尿病とリン代謝異常……渡邊有三
  • I.糖尿病と血清無機リン値との関係
  • II.糖尿病透析患者の実際(わが国の慢性透析療法の現況を資料として)
    • 1.透析前血清カルシウム・リン値
    • 2.intact-PTH(i-PTH)値
    • 3.活性型ビタミンD治療法の違い
    • 4.炭酸カルシウム投与量の違い
  • III.血管石灰化とカルシウム・リン管理
  • IV.糖尿病患者における今後の管理目標
8章 フォスファトニンとリン代謝……山下武美,永野伸郎,福本誠二
  • I.リン代謝における腎臓の役割と調節因子
  • II.低リン血症性疾患とフォスファトニン
  • III.フォスファトニン候補分子-FGF-23
    • 1.FGF-23の構造的特徴と構造活性相関
    • 2.FGF-23の生物活性
  • V.腎不全モデル動物におけるミネラル代謝異常とFGF-23
  • VI.今後の課題
  • 索引